これがアニメ「AKB0048」の世界だ!(確度0.048%)

 なんかAKBがアニメ化されるらしいですね?
公式サイト→http://akb0048.jp/
 
 なんでも、未来世界を舞台にしたSFアニメで、登場する「AKB0048」は今の「AKB48」を「襲名」した別人の集団という。
 
 ……PVとか見るに、
「AKBファンは必見!」
 な気がする……。
 
PV1


PV2

  
 ……えっ? 「ファンは必見」というのは
「ファンでない人が見る価値はない」
 の婉曲表現だろう、って?
 
 ははは、いやいやそんな。
 
 ……しかし、なんで一つのPVの中で同じシーンが何度も何度も出てくるんだ……。
 
 さて、公式サイトとPV以外事前情報を見てないんですが。
 
 背景世界である超銀河連合(仮)*1においては、
「歌や芸能活動は人心を乱すので禁止」
 という設定らしいです。
 
 いわゆる「設定厨」の私としては、なんでそんなことになってるのか気になります。
 あれこれ予想してみました。
 
 まず、本当に歌は心を乱すのか、という点ですが。
 歌に乗せたメッセージが、同じメッセージを散文的な形で広報した時よりも強く人心に訴える(例えば軍歌とか)、というのはよく知られた事実です。
 
 アイザック・アシモフは、コラム「聖なる詩人」でその力……というか危険性について述べています。*2
 
 例えば、アメリカ国歌「星条旗*3」の、今では歌われない3番(アシモフによれば、「どうしてか?第二次大戦のあいだに、第三のスタンザが殺伐すぎるというので、政府が廃止したのである」)について触れ、

 これが名作かって? 誰にわかるか? どうでもいいだろう?
 曲を知っているなら、歌ってみたまえ。
“汚れた足跡”に軽蔑を、“傭兵と奴隷”に憎しみを、“恐怖の逃走や墓場の暗闇”に残酷な喜びを適切にこめれば、それが呼びさます情熱が少し強すぎるのに気がつくだろう……だが、ことによると、そんな情熱が必要な時期もあるかもしれない。
 音楽も一役買っていると指摘すべきだ。詩を歌えば、その影響力は何倍にもなる。
(引用者改行修正)

 ……だから、歌を禁止する、というのが根拠のない政策とは言えない。
(正しい政策だと言いたいわけでは全然ないですが)
 
 さらに言えば、それと同じ根拠から
「政府が制作または検閲した歌は歌って良い。それ以外は禁止」
 という思想統制的な政策が出てくる可能性もある(というかそっちの方が普通にありそう)ことを思えば、
「歌は、政府を批判するものも、支持するものも、政治的でないものも、全て禁止する」
 ……というのは、少なくとも思想統制的な趣旨は感じられない、ある種「公正な」規制ではあります。
 
 思うに、「芸能禁止法」は、国民を管理・抑圧することを目的としたものではないのではないかと。
 むしろ、
「よりよい社会のために、市民は常に理性的な判断力を維持すべきである。
 従って、人の情緒に訴えかけ、理性的な判断を狂わせてしまう“歌”は危険だ」
 ……という、理性絶対主義的な思想が背景にあるのかな、と思います。たぶん。
 
 作品世界は、

21世紀初頭、惑星間航行技術を巡って世界大戦が勃発。人類自らが生態系に大きなダメージを与え、地球外への脱出をよぎなくされた。(原文ママ

 だそうなので、それへの反省があるのではないでしょうか。
 
 第三次大戦中の各国政府系メディアによる、あまりに効果的すぎた戦意高揚への反省。
「人々がもっと理性的だったら、あの戦争はもっと早期に終結……あるいは未然に防げたかも知れない」
 という、失われた地球への悔悟。
 
 それが、超銀河連合(仮)をして「芸能禁止法」という、21世紀初頭に生きる(……)我々には極端とも思える政策を導入した理由に違いありません。たぶん。
 
「何があっても、人類にあの戦争を繰り返させない……我々はそう誓ったのだ!」
「愛の大切さを歌う? 希望を伝える? ああ、そんな歌なら私もよく知っているさ。今でも歌えるよ……あの頃何度も聞いた、“愛する人を守るため戦おう”というあの歌を……。だが、私はもう二度と歌わない!」
 
 うおお燃える。
 
 そんな、「苦い過去」を抱えた大人たちに、アイドルへの憧れを抱く少女たちが向き合った時、どんな言葉を語ることができるのか……。
 
 そしてまた、芸能活動への衝動は「芸能絶対防衛圏」(なんぞそれ)内に限りません。
 個人や小グループで非合法な芸能活動をやる人たちもいるはずです。(妄想)
 ストリートで活動する違法ミュージシャンと、派手に活動するAKBとの感情的対立。
 しかし、その交流の中で、「芸能活動をする意味とは?」を主人公達が見直すきっかけに……。
 
 ……というような話だったらちょっと気になるんだけどな。
 でもたぶん絶対違うだろうと思うのですよなー。
 

*1:なんだ「仮」って。

*2:早川書房「人間への長い道のり」の「番外」として所収。

*3:文中では“星条旗よ永遠なれ”と書かれてますがこれは誤り