私の心の中では、私は「ブロガー」ではないんです。
むしろ、「TRPGユーザー」(ゲーマー?)。
しかし、ふと気付くと「TRPG」カテゴリに入れた記事はほとんどない!
そんなわけで、今回はTRPGの話。
「TRPGって何?」って方は読んでも楽しくないです。
さて、着々と「TRPG読者」化している私ですが。*1
わりと最近のシステムも買ってはいます。
……が、なんか最近のゲームって、背景世界は違うけど雰囲気が似たり寄ったりのゲームが多いように思えてならず……。
立場としてはクエスターだったりギアドライバーだったりウィザードだったりカオスフレアだったりするわけですが、いずれも、
「世界に破滅の危機が迫っている! それを救えるのは君たちだけだ!」
なんですよね?*2
んー。
いや、立場が固定されてるゲームは昔からたくさんありましたよ。
「駆け出しの仙人になって困っている人を助ける」とか、
「ストームナイトとしてポシビリティ略奪者と戦う」とか、
「14歳の魔女として困っている人を助ける」とか、
あるいはそもそも
「冒険者としてダンジョンに潜り、財宝を手に入れる」
とか。
でも、ゲームごとにバリエーションはあったわけで。
システムが違っても、毎回毎回世界を守るために戦うゲームばかりじゃ、飽きないですかね?
いやいや、こうやって古いシステムにしがみついていると、ますますもってTRPG界の時代に取り残されてしまいますね。
……と思って、先日(と言ってもかなり前)、新しいシステムを買ってきました。
その名は
「無限のファンタジア」。
- 作者: 一本三三七,うえむら,トミーウォーカー
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2004/12
- メディア: 単行本
- クリック: 11回
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全ページフルカラー
まず驚いたのはこれ。
見出しやコラム欄に色がついているのはもちろん、ちょっとした表なんかだと、行ごとに色分けしてあったり。
むしろ目がチカチカして見にくいくらい大変力の入ったフルカラー。
で、キャラクタークラスの紹介とかはもちろん、見出しの背景とか記事と記事の間とか、これでもかこれでもかというくらい隙間無くカラーイラストが押し込んであります。
ページによっては、ページ下部になんだか映画のフィルムみたいな模様がついているので何かと思ったら、それは縮小したカラーイラストがみっちり並べてあるのでした。フィルムの一コマにあたる部分が一枚のカラーイラストで、しかも全部違うイラスト。
モンスターデータも、全部イラスト付き。これまたフルカラー。
武器防具一つ一つがカラーイラストで紹介されてるんですよ?*3
ページ数よりイラストの枚数の方が多い(しかも全部カラーの!)ルールブックなんて、想像だにしませんでしたが……。
超ライトなネーミングセンス(婉曲表現)。
んーと。
まあ、「ランドアース大陸」とか「ホワイトガーデン」とか、英語くさい地名はまあいいですよ。
「英語が使われてる世界なのか?」
とか、野暮なことは言わないことにします。
でも、サプリメント1“Secret of the Ruins”に出てくる地名とか見ると、さすがに「むむむ」とうなってしまいました。
下に挙げる12の架空地名のうち、4つが“Secret of the Ruins”から持ってきたものです。
さて、それは一体どれでしょう。
ヒント:語感がライト。
ダリンゴース河
ガーシ村
王都エンダルノウム
双子都市ベルダイン
ヴィーチェフの都
滅びの山オロドルイン
希望の岬ウキ
バランドゥイン河
ナムゴー村
ナナミ村
ストラディウム諸島
ククア海岸
……さて、おわかりでしょうか。
正解は、
希望の岬ウキ
ガーシ村
ナナミ村
ククア海岸
……でした。
無作為に選んだ場合は1〜2個当たるのが平均のはずですね。*4
ちなみに、件のサプリメント付属の地図を見ると、ガーシ村、ナナミ村を含む4つの村が、「ファントム城跡」を囲むように配置されています。
それぞれ、城跡の
東にあるのがガーシ村
西にあるのがシーニ村
北にあるのがタキ村
南にあるのがナナミ村
という……。
こ、これで金をとるのか?*5
いやしくもプロが作ったワールドガイドなんだから、もっと重厚な名前を付けられなかったものか。
これでは、まるで中学生が2秒で考えたような……
と、思ったところではっとしました。
考えてみれば、これまで、意味もなくドイツ風だったり北欧に取材したり「〜〜語を基調に、その発音を少し歪めた名前」とかを要求する世界が多く。*6
それは雰囲気を高めるのに効果的ではあったのですが、ひねりすぎて、ユーザーがそれを真似るのが困難、という問題もありました。
「西にあるからシーニ村」レベルのネーミングで良い、ということであれば、それこそ中学生くらいのユーザーにとってはそっちのほうがやりやすいのでは。
私みたいなユーザーは眉をひそめるかも知れませんが。
しかし考えてみれば、私が初めてTRPGに触れたのは、中学生の時でしたから……。
……自分、歳をとったのかなあ……。
美少女と美少年の群れ
表紙からしてイラストが多いわけですよ。
それはいいんですけど、なんか、人物の7割が美少女で2割が美少年、オヤジとケモノを合わせて1割、という……。
表紙からしてそうなんですが。
蓬莱学園RPGだって、もう少しおじさんおばさんが多かったぞ……。*7
その上、モンスターですらなぜか美少女だったり。
まあ、ハーピー*8とかラミア*9とかはまだわかります。*10
ゼラチナスピュアリイ*11とか、コーラルピュアリイ*12とかも、なんであえて女性型なのか納得いかないけど説明文に「少女の姿の」と書いてあるから許すことにしましょう。
……でも、「マミー」*13とか「リビングスタチュー」*14とかまで、肌もあらわな少女の姿、ってのはどうよ。
あえて問おうではありませんか。
……それなんてエロゲ?
付属シナリオの素晴らしいクオリティ。
市販のシナリオ、というのは、ごく稀にハズレがあっても、基本的には高いクオリティを誇ります。
それを手本に、一般のユーザーがシナリオを作るわけです。
ソードワールドから始めた私としては、書籍型のルールブックにシナリオを付属させる……というのはどうもなじまない思いもあったんですが、*15最近は、「シナリオ作成のための参考例」と考えれば納得できる気もしてきました。
となると、ルールブック付属のシナリオは、そのゲームの基本スタイルとなるわけですから、基本をおさえつつ、しっかりした構成であることが求められるところです。
……ですよね?
3つシナリオがあるわけだし、イロモノが一つくらいあっても、ってことなんでしょうか……。
シナリオ2、シナリオタイトルの「踊り子温泉パニック!?」を見た時点で……もう……。
悪人に追われていた踊り子のシャラン(……名前についてはもう文句は言わないですが)、逃げる途中で見つけた温泉に入ろうとして、PCにも一緒に入ることを要求するわけですよ。
……男性にも。
しかも、シナリオに
「シャランの話題は「肌の張り」や「胸の大きさ」などです」
って明記してある。
…………………………。
もう何年もTRPGやってないですけど、今も多分、プレイ人口の大半が男性のはず。
それでこのシーンを演じろと言うのか。
痛すぎる……。*16
ていうか、そもそも踊り子シャランと宿の女将、「利害が一致」してないですよ。
シナリオのストーリー構成そのものにかなり無理が。
あとの2つのシナリオは……、まあ、普通……というか。
シナリオ1:行方不明になった子どもを助けるために、洞窟に入ってモンスターを倒す。
シナリオ3:圧政に苦しむ街の人々を助けるために、遺跡に入ってモンスター化した支配者を倒す。
という感じ。
うー、しかし、まあ、安いアニメとかの展開を模倣したい、という層にとってはこれでいいのか……?
でも、ルールブック付属シナリオなのに、そのシナリオ独自のモンスターが追加されている、というのはいかがな物かと思いますよ。
しかも3つのシナリオ全部で。
イラスト主体。
付属シナリオはルールブックが厚くなる、と書きましたが、本作に関してはあまりそういうことがありません。
というのも、シナリオ一つが見開き1ページしかないから。
これは画期的!
……か?
しかも、ページ面積の半分はイラストです。
いや、その分量で「シナリオフック」(いわゆる「アイデア」「ネタ」)ってわけではなくて、データとかも含んだ、れっきとしたシナリオなんですよ?
……で、その、ただでさえ乏しい文章量の中に、「話題は胸の大きさ」とか書いてある。
モンスターにしても、イラストは確かにモンスターの姿形を伝えるのに有効だけど、文章で伝えるものも大切だと思うわけですよ……。
例えば、です。
マイコニド
サイズ:普通
手足の生えた巨大なキノコのようなモンスターです。
戦闘では、手で殴りかかるほかに、毒のある胞子をまきちらして攻撃してきます。
……というのが、「無限のファンタジア」ぽいモンスターデータ表記。
でもさ、これだけだと、どうやってシナリオを発想すれば?
これがもし、
マイコニドは、手足の生えた巨大なキノコのようなモンスターです。
ある程度の知能を持ち、原始的な社会(コロニー)を築いて生活しています。
言葉を話すことはできませんが、仲間とは身振り手振りや、ある種の匂いでコミュニケーションをとるようです。
湿気の多い、人里離れた密林などに住んでいることが多い彼らですが、時には里山の洞窟などに住み着くこともあります。
木の実などを食糧にして暮らし、倒木についた胞子から生まれる彼らは、財産という概念もなく、人間を積極的に襲ってくることはありません。
しかし、食糧として養分の高い植物を好むため、コロニーの近くに人間が住み着き、畑などを作ると、勝手に作物を持って行ってしまうことがあり、森に囲まれた村などでは厄介な存在と見なしていることもあります。
また、木材は彼らにとっては良い苗床です。
集団で現れて作物を荒らした上、木造家屋を壊して木材を持ち去ってしまうとなると、開拓地などでは死活問題ともなります。
自分や仲間が危機に陥ると、基本的には逃げようとしますが、それができない場合には、素手で殴りかかってきたり、毒のある胞子をまきちらして攻撃したりします。
歳月を経るに従ってマイコニドは大きく成長していきます。マイコニドには性別はなく、年齢によって社会的な仕事を分担します。
年齢の浅い小さなマイコニドは、大人のマイコニドに保護され、食事を分け与えられます。
長い年月を経て巨大に成長したマイコニドは、その大きさのため自力では動けなくなる、と言われています。
伝承では、そのような巨大な個体は、人間と同等かそれ以上の知能を身に付け、コロニーの成員から崇拝されるとか、魔法的な力を身に付ける、などと語られていますが、真実は定かではありません。
また、ある種のマイコニドは特殊な薬の材料になるとされ、特に若くて力の弱いマイコニドが、犯罪組織や一攫千金を狙う密猟者に襲われることがあります。
そのような経験をしたコロニーは、人間に対して敵対的な態度をとることもあります。
……くらい書いてあれば、こいつを使ったシナリオの1つや2つ、ほいほいと思いつける、ってもんなんですが。*17
モンスターに限らず、他のと数値以外の違いがないって、つまんない、と思うんですけど……。
だから、モンスターの数は減らしてもいいから、一つ一つを詳しく扱うべきだったんじゃないかな、と。
でも、テレビゲームの世界では、モンスターは外見とデータ以外は違いがない、というのが普通ですよね。
そっちの方が使いやすい、という人もいるのかなあ……。
むう。
……単に「字を読むのが面倒」な人が想定ユーザー層、ってわけじゃないよね?
結論
TRPGは、金はないけど暇はある、学生の遊びですから。
若者をターゲットにしたシステムが多いのもむべなるかな。
自分、歳をとったのかなあ……。
*1:実際には、もう何年もプレイしてない時点で
「着々と〜〜している」
どころじゃないんですが、それを認めたくない心理。
*2:他の会社でも、享受者とかマイトとか、ちょっとだけそれっぽい?
*3:正確には、武器防具のジャンルごと。
例えば、「スーツアーマー」カテゴリの中には、
・スーツアーマー
・ナイトアーマー
・ソーンアーマー
・マスターアーマー
・フェザーアーマー
の5種類の鎧が含まれますが、イラストは全部について一枚だけ。
*4:ちなみに、それ以外の地名は
ダリンゴース河・ヴィーチェフの都 → 深淵
王都エンダルノウム・ストラディウム諸島 → ローズ・トゥ・ロード
双子都市ベルダイン・ナムゴー村 → ソードワールド
滅びの山オロドルイン・バランドゥイン河 → 指輪物語
から持ってきました。
(ナムゴー村は、シナリオ「不幸の燭台」の舞台。ルールブックには載っていないはず)
*5:まあ、“深淵”だって、「草原の大公マキラスカ」とか「ネズミ使いアイズナ」とか、安直なのも結構あったけど……。
*6:“ヴ”とか“ァィゥェォ”の表記がやたら多い。
*7:高校が舞台のゲームです。
*8:ギリシャ神話に登場する怪物。上半身が女性、腕と脚が鳥。
*9:同じくギリシャ神話に登場する、上半身が女性で下半身がヘビの怪物。
*11:キューブ型の巨大アメーバみたいな姿のモンスター。
このゲームオリジナルの怪物だが、たぶんD&Dの「ゼラチナス・キューブ」が元になっている。
(やっぱり巨大な四角いアメーバで、通路を埋め尽くすようにして迫ってきたりする)
しかし、「ピュアリイ」の方は、細胞核がなぜか裸の少女の形をしている。
*12:少女の姿の怪物。
裸の体に、鎧状のサンゴをわずかに身に付けただけ。
オリジナル。
*13:つまりミイラ。断じて、
「裸にちょっとだけ包帯を巻いた少女」
ではない。
*14:「生きている彫像」の意。
ただの石像と見せかけて、突然襲ってくる。
神話伝説由来ではないが、ゲームではわりとメジャーな怪物。
断じて、
「石の兜以外はすっぱだかの少女」
ではない。
ちなみにイラストだと、乳首は長い金髪で隠れているんだけど……。
でも、下半身には(上半身もだけど)何も着けてないわけで、これって正面から見るとさ……。
*15:その分ルールブックが厚くなって、扱いにくくなるから。シナリオはどうせ一回使うか使わないかだし。
*16:セッションに女性を含んでいたらそれはそれで痛い。
*17:ちなみにイラストはhttp://www.junkie-chain.jp/から借用。マイコニドの設定は全部架空。