希望と不安を抱いて迎える、入学式。

我が子の命名は、親御さんとしては悩むところだろうと思います。
何年か前の学校で、若い女の先生たちが話し合っていました。
 
「あたしさあ、前は、“しんのすけ(仮)”って名前、響きがいいな、って思ってたんですよ。子どもが生まれたら付けよう、って……」
「……しんちゃんかあ……」
「絶対、自分の子の名前呼ぶたびにあの子思い出しますよね……」
「この仕事やってると、子どもに付けられない名前が増えていくよね……」
 
はい。
色々、問題のある子だったんです、しんのすけ君。
 
学校では、場合によっては年間数十人の子どもの名前を目にするため、密かに
「これは!」
と思っていた名前に限って、
「……うーん……」
という子と結びついていたり。
 
まあ、私はまだ
「子ども? なにそれ?」
って感じですが、将来命名の必要が出てきた時には、卒論が出す名前の候補にいちいちダメ出ししてしまいそうな気も。
 
……ただ、実は、このような状況は、すでにある意味過去の物となりつつあります。
 
もう年度末。
 
そろそろ、来年の入学児のことが気になります。
 
で、来年の新入学児童名簿を見ると。
 
陸碧君(仮)とか華衣音さん(仮)とか。
 
私「……これ、一体なんと読めば?」
Y「……さあ?」
 
さあ、って。
 
まあ、こういう名前も、親御さんは考えて付けたんだろうと思いますけど。
 
でも、愛稀(あき)さん(仮)、とかいう名前を見ると、「どうなの?」と。
 
愛が稀……って。
 
稀なほど愛らしい、と理解すれば良いんですかね?
 
先日、新入生保護者会が開かれました。
 
新入生の保護者の方を学校にお招きして学校生活について説明し、疑問を解消し、不安を取り除き、信頼関係を築く糸口とします。
 
で、受付をやっていた事務官が、電話のために中座したため、やむなく5年児童と一緒に一時受付をやりました。
といっても、資料を渡して、名簿にチェックするだけの仕事です。
 
保護者「こんにちは」
5年「こんにちはー」
K村「こちら資料になります。えーと、お子さんのお名前を伺ってよろしいですか?」
保護者「田中未来輝(たなかあすき:仮)です」
5年「……変な名前」
 
空気が凍り付きました。
 
K村「……!(思わず5年の頭にチョップ)」
5年「……すんません」
保護者「……(無言で資料を受け取る)」
K村「……このバカ……!」
 
えーと。
 
我が子を「変な名前」呼ばわりする上級生と、児童の頭をチョップして罵倒する職員。
 
保護者の不安を取り除いて信頼関係を構築しましたか?
 
……とはいえ、不安なのは保護者だけではありません。
 
Y「音遠(ねおん:仮)君のところ、説明会に来るかどうか、保護者から連絡がないんだけど……」
教頭「麻泰(またい:仮)君のところは、電話は通じたけど、お母さんに日本語が通じなかったわよ?」
 
……心配。
 
最近は、
「新しく来るのはどんな子なんだろう」
という話と同じくらい、
「新しく来るのはどんな保護者なんだろう」
という話が取りざたされます。
 
とはいえ。
子どもたちにとって、有意義な6年間になるといいですね。