勝者の世界分割。

私はドイツが大好きだ。
それが2つもあるなんて、実に素晴らしいことだ。
 
ウィンストン・チャーチル
(第二次大戦当時のイギリス首相)

建国初期のイスラエルは、アメリカの支援もあって、周辺国との紛争には連戦連勝だったが、内政には多大な問題を抱えていた。
そんなある日、外務相が首相執務室に飛び込んできた。
 
外相「首相、我が国の抱える様々な問題を一挙に解決する方法を見つけました!」
首相「本当か。一体どうするのだ?」
外相「アメリカに宣戦布告するのです!」
首相「いや……待て。 どう考えても負けるだろうそれは」
外相「そこがねらい目です。 適当に戦って、首都エルサレムアメリカに占領されればいいのです」
首相「わからんな。 植民地化されるだけじゃないか」
外相「いえ、歴史上、アメリカと戦って負けた国は、見事な戦後復興を遂げています。 日本しかり、ドイツしかり」*1
 
そこで軍司令官が口を挟んだ。
 
司令「待て。一つ、問題があるぞ」
外相「何? 一体どんな」
司令「我々が勝つかも知れないじゃないか」
 
〜冷戦期のジョーク〜

世界史の時間、「自然国境説」という言葉を聞いたのを覚えておいででしょうか?
 
これは、
「国家間の国境線は、河川や山岳を元にして引かれるべきだ」
という考え方です。
 
逆に言うと、河川や山岳で区切られていない国境線は不自然なものだ、ということで、まあつまり、アフリカとか朝鮮(以下略)*2
 
フランス国王ルイ14世は、この説を元に、大西洋・ライン川アルプス山脈ピレネー山脈の内側はフランスの領土であるべきだと主張して領土獲得戦争をしかけたりしたわけです。
 
まあ、要するに「お前が持っているそれは実は俺のものだ」という話ですね。
 
ライン西岸は俺のものだー。
 
現代の、
「国境というのは人間が定めたもので、本来、惑星地球には国境なんてものはない」
……と考える人にとっては、どうにも馬鹿げた話ではあります。
しかし、「王権神授説」とかがまかり通っていた時代ですし、神が世界に国境を引き給うた、と考えるのも、それなりに合理的だったのかも知れません。
 
「未回収のイタリア〜」とか、「ドイツ人が住んでるところはみんなドイツ領〜」とかいうのもわりと似たような話でしょうか。
 
一方、現代は理性の時代ですから、状況は異なります。
もっと合理的に、もっと平等に。
 
すこし前のニュース。
「関東に日本海側を」 両海洋型の区割り有力 国土審議会

 関東地方に日本海側ができる可能性がでてきた。
(中略)
 今回の審議で有力になったのは、「両海洋型」の区割り案。現行の関東地方に新潟県を組み入れ1つの圏域とし、北陸地方3県を愛知など中部地方と合体させ1つの圏域とする、更に中国地方と四国地方を1つの圏域にする。東北・近畿・九州の各地方を含め、全ての圏域で日本海側と太平洋側を持たせる。委員のほとんどが、この案に賛同している状況だ。

 北陸地方など規模の小さい圏域を解消し、各圏域の経済力と自立性を高めるねらいがある。(後略)

そう、北海道・東北・近畿・九州地方には「太平洋側」と「日本海側」があるのに、関東・中国・四国地方にはそれがないのはいかにも不平等です。
やはり物事は平等でないと。
 
というわけで新潟県は関東のものだー。
 
四国地方は中国地方に併合。
北陸地方は中部・関東で分割。
チェコスロバキアはドイツに併合。
ドイツはソ連アメリカで分割。
 
ていうか、トルデシリャス条約(1494年)に従うと、法皇子午線以西(アメリカ大陸全部)はスペインのもので、以東(アフリカ大陸全部)ポルトガルのものなんですが。*3
 
この際、「関東にも“オホーツク海側”があるべきだ!」とかいうのはどうだろう。
……私はオホーツク海はもう嫌だけど。
 
しかし、
「経済的に自立できない地域は大きい地域にまとめちゃおう。または、解消してすでにある経済圏に編入しよう」
……って、国家間の関係で考えるとやだなあ。
 
タイもフィリピンも日本のものだー。
 
……日本の財政もそのうち破綻するかもしれない状況だけど。
 
日本は中国のものだー。
いや、アメリカのものだー。
 
で、箱根以西は中国領、以東はアメリカ領。
……「あ・じゃ・ぱん!」*4と逆だな。
 
まあ、分割・併合となると、国民感情にしこりが残るのが世の常。

今後、両海洋型の区割りを進めるには、実際に計画を立て実行する地方の納得をどのように得るかが重要となる。

無理矢理併合して、ロシアだのインドネシアだのみたいに、分離独立派が強硬な動きを。
 
「我々、新潟民族解放戦線は、東京の梅雨入りをもって“関東(含む新潟)は梅雨入り”扱いすることの中止と、テレビ東京制作の時代劇に“越後屋”を悪役として登場させることの即時停止を要求する!」
 
略称はNNLF(Nigata National Liberation Front)。
 
いや、民族じゃないけど。
 
「さもなくば、テレビ新潟を電波ジャックし、“江戸屋”を悪役として登場させる!」
 
我々はテロには屈しない!
 
何が言いたいのかよくわからなくなってきたので、唐突に終わる。

ロシア連邦サハリン州の人々は、政府が十分な予算を送ってこないためにきびしい財政運営を強いられていた。
そんなある日、副知事が、州知事の執務室に飛び込んできた。
 
副知事「知事、我が州の抱える様々な問題を一挙に解決する方法を見つけました!」
州知事「本当か。一体どうするのだ?」
副知事「日本に宣戦布告するのです!」
州知事「いや……待て。 いくらなんでも勝てないだろうそれは」
副知事「そこがねらい目です。 宣戦布告の後、海上自衛隊が日露国境に近づいてきたところですかさず降伏するのです。」
州知事「わからんな。 植民地化されるだけじゃないか」
副知事「日本は豊かな国です。彼らに戦後統治を任せれば、インフラ整備もなにもかもやってくれるでしょう」
 
そこでが州議会議長が口を挟んだ。
 
議長「待て。一つ、問題があるぞ」
副知事「何? 一体どんな」
議長「日本が先に降伏するかも知れないじゃないか」

〜冷戦後のジョーク〜

21世紀は地方の時代ですよ?

*1:これがイラク戦争以前のジョークであることに注意されたい。

*2:38度線は、植民地時代に大日本帝国が引いた行政区分が元になってるんだそうで、そういう意味ではアフリカ諸国のやたら直線的な国境と共通するものがあります。
ていうか、アフリカに不自然な国境が山ほどあるのは、フランスの責任も大きいんじゃないのか。

*3:フォークランド紛争の時、アルゼンチンはこの条約を持ち出して
フォークランド諸島は俺のものだー」
と主張したらしいので侮れない。

*4:西日本がアメリカ領、東日本はソ連