敵は本能寺にあり。

不愉快な話。
ていうか、今、書くために思い出しただけでも腹が立ちます。
 
これまで何度か書いたとおり、昨年度まで私が勤務していた鱶沢小学校と、それに校区が隣接していた卯崎小学校は、昨年度末をもって統合されることになりました。
 
さて。
 
合併後の校名は「鱶沢小学校」ですが、校舎は旧卯崎小学校を使います。
すると、旧鱶沢小学校の校区から徒歩で通学するのは遠い、という子が出てきます。
 
スクールバスを出してくれないか、という話はあったのですが、教育委員会の答えはNo。
「校区内を、市営の路線バスが走っているから」というのが理由でした。
 
路線バスの定期券を支給するので、それに乗って通学するように、とのこと。
 
路線バスの時刻表は微妙に学校のカリキュラムに合っていないし、路線からやや遠い(バス停から家まで一人きりになってしまう)子どももいるので、時刻表やバス停の配置を変えてもらえないか、と要望したものの、答えはNo。
「スクールバスではないので、そうそう自由に運行形態を変えるわけにはいかない」というのがその理由。
 
しかし、そもそもこんな僻地のバスで、走っているのは早朝と午後の下校時刻近辺だけ。
要するに、路線バスとは言っても小中学生しか乗らないのです。
 
だったら、路線バスなんか廃止して、スクールバスに切り替えてもらった方がいいんじゃないでしょうか。
しかし、もちろん答えはNo。
 
さて、これまでは、鱶沢地区を走る路線バスは、中学生しか乗っていませんでした。*1
しかし今回から小学生が乗ることになり、乗客は実に三倍になります。(朝のみ。下校時刻はずれる)
 
そうなると、これまでの小型バスでは乗りきれないのでは、という懸念が出てきます。
これに対して、教育委員会は、大きいバスに切り替えるので大丈夫、と約束していました。
 
ところが、先週の木曜。
何やら不安を感じた一人の保護者が、バスを運行する会社に出向いて、この春から鱶沢地区を走るバスを見せてもらったのだそうです。
 
すると、どう考えても座席数が不足。
 
具体的に言って、それに乗る予定の小中学生を全員乗せると、乗車率が260%くらいになる計算だというのです。
これから毎朝そうなるわけです。
 
その上、つり革も大人がつかまる位置についているので、小学生ではつかまれないんじゃないか、と。
 
つまり、半数以上の子どもが、どこにもつかまらないでぎゅうぎゅう詰めに立っている状態になるのではないかと。
 
その状況で、万一急ブレーキでもかけようものなら……。
 
もちろん、これは一保護者の報告ですから、鵜呑みにするわけにはいきません。
 
しかし、なにぶん、月曜からはバス通学が開始されますので、直ちに教頭から教育委員会にその旨問い合わせました。
それと共に、バス通学の指導をかねて、月曜から職員がバスに同乗して状況を確認することになりました。
 
で、翌金曜日には、教育委員会の人が学校に来たんですが。
 
「いつもお世話になっております。お忙しいところご苦労様です」
……と言ってお辞儀をする教頭に対して、
「いやいや、どうも今日は仕事を増やして頂いてありがとうございます」
 
なにそれ。
 
で、二人のやりとりを端で聞いていたわけですが。(職員室で折衝していたんです)
教育委員会側は、全然やる気がないのを隠そうともしません。
 
教委「いやまあ、いちいち保護者の意見を聞いているとですね、まあ、暖房をつけろだの冷房を付けろだの、きりがないですからねえ」
教頭「それは、乗り心地について言い出せばもちろんそうですが、最低限の安全性というのは必要ですから……」
 
教委「たとえば、小学生が全員座れるだけの座席を確保してもですね、中学生が先に座ってしまうとか、そういうこともあり得るわけです。そこに、さらに一般の人が乗ってくる可能性もあるわけですから」
教頭「それは、児童指導・生徒指導上の問題になりますね。中学校にはすでに連絡をとって、校長に、小学校低学年を優先して座らせるよう指導してもらえるよう要望しました。しかし、そもそも十分な座席がないわけですから……」
 
がんばれ教頭先生。
 
……しかし、結局、教育委員会側は最後まで露骨に嫌そうな顔をしたまま。
ともかく、新年度が始まって一週間、職員が同乗して状況を確認し、その様子を報告する、ということだけは承知させました。
 
要するに、「話だけは聞く」ってことです。
 
何というか……。
 
お茶でもぶっかけてやろうかと思いました。
 
もちろん、一保護者の話を鵜呑みにはできない、とは、すでに書きました。
しかし、教育委員会の担当者様は、そもそもバスを確認さえしていないんだそうで。
 
これまで、虚実市教育委員会は、学校と子どもに対して、いろいろ頓珍漢なことを要求したり、やたら偉そうだったり、その上仕事が遅かったりしました。
しかし、私としては、教育委員会は現場から遠いところにいるので、子どもの実態が見えにくく、どうしてもやることが見当違いになってしまうんだろう、と考えていました。
 
ですが、今回の様子を見て、どうやら違うような気がしてきました。
要するに、連中には、子どもたちを健全に育成しようとか、子どもの安全を守ろうとか、そういう気持ちは全然ないんじゃないでしょうか。
 
ともかく、明朝は早いのでもう寝ます。
 
本校職員は、これから一週間、バス通学の実態調査と、バスの乗り方に関する指導をしなきゃならないので、全員一時間程度早く出勤することになったのです。
 
こんなことを書くと嫌らしいですが、他の職員の名誉のために書いておくと、私たちには、時間外手当とか休日出勤手当というものは出ません。全員ボランティアです。
 
でも、安全指導主任が、本件について提案して、当番表を配った時、誰も文句は言いませんでした。
こうして言葉にするといかにも嘘くさいんですが、子どもたちの安全のためにそれが必要なら、それは教員の仕事だからです。
 
「仕事が増えた」どころじゃありませんけども。
 
働くのが嫌な奴は辞めてしまえ。

*1:旧卯崎小では、もともと小学生もバスに乗っていました。