低学年における基本的生活習慣に関する指導について(事例研究:校内)

1年担任のS先生と。
 
S「あの、ちょっと、今度お願いしたいことがあるんですけど」
私「はい?」
S「今度、うちのクラスのA君と一緒にトイレに行って、様子を見てほしいんですよ」
私「……なんでまた」
S「A君、トイレがうまくできないみたいなんですよ」
私「ははあ。……小さい方ですか?」
S「はい。なんだか、する時にズボンの足とかにひっかけちゃうことがよくあって。衛生面も気になるし、後でなんだか足がひりひりするらしいんですよ」
私「へえ」
S「何か、強力なんですかね」
 
何が。
 
私「うーん。別に、アンモニアとか尿素とか考えなくても、濡れたズボンをはいて歩き回ってたら足がひりひりするとは思いますけど……」
S「あわててトイレに行くから、ズボンをおろすのが間に合わないのかな、とも思うんですけど」
私「あわてて行くんですか?」
S「はい。休み時間にも、トイレに行ったら?って聞くんですけど、いい、って言うんですよ」
私「うーん。『行きたくなくても行け』って言った方がいいかもしれないですよ」
 
「行きたくない人もトイレに行って下さい」は、私はよく言います。
遠足でバスに乗る直前とか。
 
人間、「今、トイレに行きたくなったら困るよな」……と思った瞬間、トイレに行きたくなったりします。
実際には大して行きたくないはずの状態でも、「行きたくなったらどうしよう」と考えた瞬間、そういう暗示がかかるわけで。
 
だから、先にトイレに行っておくことで、「さっき行ったから大丈夫」……という暗示をかけるのです。
わりと有効です。
 
……具体的に言うと職員会議の前とか。
 
私「にしても、ズボン下ろすのが間に合わないほど我慢してるのかなあ」
S「どうも、どこがどうなってそういう失敗をしちゃうのか、今ひとつわからなくて……」
 
まあ確かに。
私も、うちのクラスの女児がトイレで失敗したとして、なんでそんなことになるのか今ひとつわかりませんよ。
 
っていうか、その時にS先生に尋ねるかどうか疑問。
 
私「それで、私に一緒に行ってほしいと」
S「はい。……まあ、担任が行くべきなのかな、とも思うんですけど。 ただ、私はいいんですけど、そこまでついて行っていいのかな、と」
私「ううむ……」
S「だって、中学生だったら絶対だめですよね。小学校高学年だってだめですし。そう考えると……」
 
うちのクラスの女児だったら……
絶対だめです。
 
私「まあ、わかりました。ただ、とりあえず、休み時間ごとにトイレに行くようすすめてみたらどうですか? それでも失敗するようなら、私が『よーし、一緒にトイレ行こうぜー』って感じでついて行きますから呼んで下さい」
S「はい。その時は、どうしてそうなってたのか報告して下さい」
私「……でも、低学年は、Y先生の方がベテランだから、Y先生にも聞いてみた方がいいと思いますよ」
 
……みたいな会話があり。
 
冬休みに入ってから、私からY先生と養護の先生がいるところでその話を聞いてみました。
 
私「……というような話があったんですが。S先生から聞きました?」
Y「ううん、聞いてない」
私「あ、そうですか。……結局、何がまずいんでしょうね」
Y「うーん。ズボンを足元まで下ろす子だと、そうなっちゃうことがあるのよね。あと、家が洋式トイレで、座ってする子とか」
私「なるほど」
 
そういう男性も増えてるそうですから。
 
昔いた学校で、一年生にあがる子どもの保護者から、
「うちの子は洋式トイレでしかできないので、学校のトイレを洋式にしてほしい」
という要望があって。
校長先生が、
「新校舎(低学年教室が入っている)は洋式トイレですが、旧校舎は和式ですし、たとえ旧校舎のトイレを改築したとしても、遠足などで出かけた先のことまでは責任を持てませんので、なるべく早くお家で練習して下さい」
と答えてましたっけ。
 
……あの後怒ってたな、校長先生。
 
Y「まあ、あれよね。する時にしっかり手でおさえてしないと。それから、終わった後、なんていうか、手でぷるぷるー、ってしないと、汚れちゃったりするわよね」
 
ぷるぷるー。
 
養「まあ、どうしてもうまくいかない時は、お母さんに連絡して見てもらった方がいいわねえ」
私「私、ついて行った方がいいですかね?」
Y「私なんか、かまわずついて行ったりしちゃうけど、やっぱり子どもは嫌がるわね。まして、S先生は若い先生だもんねえ」
私「……こう、どのように報告していいものかと思ってるんですけどね。デジカメで状況を撮影するわけにもいかないし」
Y「うーん。S先生も、あのへんがどういう風になってるのか、よくわかんないかも知れないよね」
養「いや、わかってるかもしれないよー」
 
ちょっとセクハラ気味。
 
ええと、私見ながら。
S先生の話を聞きながら推測したこと。
 
幼児だと、仮性ないし真性包茎の子が過半数ですから。
それ自体は普通のことなので心配しなくてもいいんだそうですが、そのままで用を足すと、尿があちこちに飛び散ってしまうことがあるのではないかと。
 
……で、それをどうS先生に説明すりゃあいいんですか。
 
私「……図解して説明するわけにもいかないですし……」
養「教育ビデオとか作ったら?」
Y「そうそう。子象さんといっしょにトイレのお勉強! とか」
養・Y「あははははははは」
 
……セクハラ気味?
 
私「ていうか、S先生も私も、育児の経験がないので、トイレトレーニングはしたことがないんですよ」
養「小学校で、先生がトイレトレーニングまですることはあまりないわねえ。できれば、保護者の人にお願いした方が、子どもも安心すると思うけど……」
 
ともあれ、今のところ、A児とトイレ、という事態にはなっていません。
がんばれA君。
ビデオを作るなんて私は嫌だゾウ。