年末の宿題。

年賀状、出し終わりました。
 
K村「年賀状、何枚出しました?」
S助教諭「えーと、今年は30枚ちょっとですね」
K「うわ。私、その半分も出してない」
S「ええ? けど、それなりに勤務年数が長いんだから、あちこち出すところあるんじゃないですか?」
K「前の学校とか?」
S「そうそう」
K「……だってめんどくさいし。 どうせもう会わないし」
S「えー」
 
社会人失格っぽい。
 
とりあえず、子どもは全員必ず出すし、一人一人、コメントもなんて書くか考えるんですけど、他の先生とかは何も考えず「昨年はお世話になりました。本年もよろしくお願いいたします」。
 
これが大規模校だと、受け持ちの子どもと職員室だけで60枚こえちゃいますよね。
大変だなあ……。
 
昔いた学校だと、校長が中心になって「職員室内で年賀状を出し合うのはやめましょう」……っていう申し合わせをしてたから、楽だったんだけど……。
 
H教諭「でも、それって、申し合わせがあっても出す先生はいると思うな」
K村「う」
H「K村先生のところには年賀状は来なかったかも知れないけど、校長教頭と、同じ学年の先生にだけは出す、とかいう先生はいたかもしれないよね」
K「ううっ」
 
私は誰にも出してなかったけどな!
 
K「今年喪中なのは、あそことあそことあそこですよね?」
S「はい。 で、あの先生、住所わかんないんですけど……」
K「昔の職員録に載ってるかな……。担任は、『冬休みのしおり』の『緊急時の連絡先』に、電話番号の他に住所も載せてあるけど……(『夏休みのしおり』には載せていないので、これは年賀状用です。そうは書いてないけど)」
S「前の学校では、そういう喪中関係とか住所とか、年末に一覧が出たんですよ。だから、それを見ればいいや、って思ってたら、出なかったんで……」
K「おお、年賀状主任がいたんだ! なるほど、それはあると楽かも。プリントアウトして配って、パソコンを使う人は、元データをLANで共有したのを取り込めばいいんだし」
S「……でも、言い出しっぺがやらされますよ、そういうのは」
 
いや、そのくらいの仕事ならやってもいいなあ。
 
仕事かどうか怪しいけど。
 
そんな社会人失格の私も、子どもたちにだけはちゃんと出しているわけで。
12月に入ったころ、
 
「みんな、年賀状の書き方はわかる?」
「わかんなーい」
「……お手紙の書き方はやったはずだろうに」
 
宛先と差出人の書き方を教えました。
 
「……あ、ひょっとして、みんなの中に、今年家でお葬式のあった人、いない?」
「はーい」
 
一人挙手。
 
「ああー。それじゃあ、そこには年賀状出しちゃだめだね」
「ええー? みんなに出そうと思ってたのに」
「じゃあうちにはねんがじょう来ないの? つまんなーい」
「うん、そのかわり、寒中見舞いを出せばいいんだよ」
 
……などというやりとりがあった後。
 
しかしよーく考えると、今年、あの子の家で葬儀があったという話はきかず。
兄弟関係の担任に聞いてみても「そんな話は聞いていない」。
出席簿を確認しても、忌引きにはなっていません。
 
「……おや?」
 
ただ、たしかあの子の家の隣で、夏頃に葬儀があったはず。
それに出たのを勘違いしていたんじゃないのか。
 
……で、年賀状、全員に発送しちゃったんですが。
 
あとでその家の人に聞いたら、
「ああ。ちょっと遠い親戚だったんで、あまりみなさんにもお知らせしないで、密葬みたいな形でやったんですよー」
「げ」
「喪中欠礼も、出そうかどうしようか迷ったんですけど」
「あわわ、年賀状、だしちゃいました。すみません」
……と、一斉にあやまる兄弟関係担任。
 
社会人失格?