不審者対策における学校と地域の連携について。

現在本校では、毎日下校時に職員が子どもたちに付き添い、帰宅を見届けています。
しかしながら、帰宅後に外に出かけていくのにまでついて行けるわけではありませんし、土日・祝祭日についても同様です。(付いてこられたら子どもも嫌でしょうし)
 
ですから、地域の方が、近所の子どもたちの様子に目を配ってくれるかどうかが、とても大切になります。
 
ところが、本校は僻地にあり、人家もまばらです。
 
子どもたちが、子どもたち自身の視点で不安を感じている箇所はないか調査を行いました。
 
「……というわけで、K村先生、今日の下校指導でデジカメを持って、不安箇所周辺の写真を撮ってきて下さい」
「うげ」
 
途中にある廃屋などを撮影してきました。
 
「廃屋……っていうか、確かにぼろぼろだけど、ひょっとして人が住んでるんじゃないのか、ここ。車が停まってるし」
「だからこわいんじゃない!」
「……?」
 
「裏山が暗くて怖い」とか、不審者が怖いのかお化けが怖いのか定かじゃない子どもたちです。
どっちも似たようなものだと思ってるのかも。怪人赤マントとか口裂け女とか。
 
廃屋の撮影だけならなんの面倒もないのですが、厄介なのは、「途中に家がない」と書いた4年生のA児の現地調査。
ほとんど一本道の校区ですが、その主要道から1kmほど山に入ったところに、児童の家が一軒だけあるのです。
 
仕方ないので、下流方面で一番遠い子を家まで送った後、戻る途中で今度は山の方へ入って写真を撮って、それからまた主要道まで戻りました。
 
途中、寒さのためか、充電した後使っていないはずのデジカメの充電池が切れかけ、デジカメから出して温めては撮影、という事態に。
 
確かに、民家もまばらで、しかも道がその北側(後ろ側)を通るため、何が起きても人目に付きにくい様子でした。
それに、予算の関係か、街灯というものが全くないのです。
 
子どもたちを送っていく時はあれこれ話をしながら行くので大して苦にならないのですが、一人とぼとぼと歩いているととても切なくなってきます。
確かに怖いかも。
 
で、学校に戻ると、4年担任が。
 
「K村先生、ひょっとして、今、A児の家まで行って写真撮ってきました?」
「ええ。 何か、周囲に人気がなくて不安だというので、現地調査を。なんでですか?」
「いやー、それがさっき、A児を家まで送っていったら*1、おばあちゃんから、なんだか怪しい人物が自宅の周囲をうろついていた、というお話が」
「ぶ」
「なんか、『A児に聞かせるとびっくりしちゃうから』とか言って家の後ろに連れて行かれて。こっそり教えてもらいました」
 
子どもへの細かい配慮が感じられますね。
 
「なにか、上下黒い服を着て(ジャージです)、カメラ持ってぱちぱち撮ってたって」
「あー。そりゃ不審ですねえ」
「40代くらいの男性だそうです」
「……40代だったんですか、私」
「黒い服だから歳くって見えたのかもしれませんね。
『最初は学校の先生かと思ったんだけど、どうも近くで見たら違った』って」
「……違うんですか」
「まあ、子どもと一緒にいないとわからないんですかね」
 
とほほ。
 
よっぽど教員らしくない雰囲気なんでしょうね、私。
むしろ不審者らしい雰囲気。
 
「警察に言おうか学校に言おうか迷ったんだけど、って言うんで、私から連絡しておきますから、って伝えておきました」
「ありがとう……ございます」
「じゃあ、A児の家に連絡して、心配しなくていいです、って伝えておきますね」
「お騒がせしました、って言っておいて下さい」
 
えーと。
 
当該不安箇所周辺は民家はまばらですが、地域の方の迅速な情報提供があることがわかりました。
報告終わり。
 
なにか、もっと市街地にある学校で、本校と同じように子どもたちと一緒にジャージで歩いていたら、警察の職務質問を受けた先生がいるそうですよ。
 
担任「いや、私は〜〜小学校に勤務する教員で。この子たちの担任なんですよ。なあ?」
児童「違うよー?(嘘)」
児童「この人知らない人ですおまわりさん(嘘)」
 
その後どうなったかは知らん。

*1:A児は4年生ですから、2年生より下校が遅くなります。このため、4年担任は私より後にA児宅に着いたのです。
帰りはA児の家の人が送ってくれたとか。地域の方の親切に心温まります。