特殊学級について「覚え書き」で書いたこととちょっと矛盾する……かな?
学校というのは物持ちのいいところです。
場所を移転することが滅多になく、そもそも建物が広い上、最近は少子化の影響でますます空きスペースが増えています。
しかも、学校にあるものはことごとく税金で購入した公共の財産で、捨てるには手続きが必要です。
要するに、なんでも捨てるより取っておく方がずっと楽なのです。
こういうところ、お役所です。
その結果、遙か昔に買ったものが、埃をかぶったままずっと眠っていたりします。
今年、情報メディア教育主任になって、パソコン室と資料室(=物置)の備品をちょっとひっくり返したら、「GUIを採用してないOSで動くパソコン」とか、「電源は入るけど光らないプロジェクタ」とか、「音楽の授業に使うレコード」「変質したOHPシート教材」とかが出てきました。
ちなみにOHP教材は市販のもの。
題材は「礼儀作法」。
……当時と今で文化習俗が変わってるかもしれないぞ。
あと、8ミリフィルム映写機とか。
インテリアに最適。
っていうか、フィルムがないので飾るくらいしか用途がないんだが。
ひょっとしたら高値が付くのでは、と思ってネット検索してみましたが、たいした金額ではなかったので廃棄申請。
しかし、こうして死蔵されているものも多い中で、古い物が使われ続けていることもあります。
「古いのが使えるから」
「予算がない」
……といったことが理由でしょうか。
職員室のパソコンなんか、新しいのを買おうとしても、古いのが壊れない限り申請が通らないし。
ちくしょう、官僚どもめ。
前の学校のパソコン(Win95)は、一度に二つ以上の文書の印刷を命令すると、確実にフリーズ。
一つの印刷が終わってから、次の印刷を指示しないとだめ。
これがつまり「一時に一事の原則」ですね。
その前、産休の先生の代わりに助教諭として行ったとある大規模校では。
私は、担任を持たず、あっちこっちの学年で社会だの音楽(!)だの書写(!!)だのを持たされていました。
その中で、週に一度、特殊学級の授業が含まれていました(!!!)
まあ、男の子一人だけの特殊学級だったんですが。
……で、何をしたのか、というと。
要するに、学習用情報機器を使ってその子が勉強するのを手伝う、という、ほとんど自習監督みたいな立場でした。
勉強、といっても、要するに昔ファミコンであった「けいさんゲーム さんすう○ねん」みたいなもので。
式を見て、正しい数字のカードを選んだり、落ちてくるひらがなの中から、指定された文字をキャッチしたり。
ひらがなの勉強では、ちゃんと声も出ます。
音声ファイルというのはけっこう容量を食う物だと思いますし、そのために、ファミコンはもちろんスーパーファミコンの時代になっても、しゃべるゲームというのは少なかったわけですが、そういう意味ではがんばっている内容だと思います。
さすが、記憶媒体がカセットテープだけのことはありますね。
……データレコーダって、知ってます?
今から20年くらい前のパソコンには、ハードディスクもフロッピーディスクドライブもついてなくて。
音楽の録音とかに使うカセットテープに、情報を記録していたんです。
そのために使われる機械が、データレコーダ。
スピーカーのないテープレコーダみたいな機械です。
基本的には、ゲームをやるためにはそのデータを全部読み込まねばならず。
要するにカセットテープを全部再生し終わるのを待つわけですから、ロードを開始してから終わるまで20分とか。
その機械の場合、読み込みは数十秒で済みましたが。
(たぶん、専用機だから、テープをプログラムの側で制御できるんだと)
……5インチフロッピーですらないのかよ……。
もはや古代の技術だと思ってたんですが、いまだに現役。
しかし、いまだ、あの時間があの子の力になっていたのかどうか疑問。
だって、評価とか報告とかも何一つ求められなかったし。
担任から「今日はどうだった?」って軽く聞かれるくらい。
音楽だの書写だのを持たされていたことから考えると、あの学校は、各職員の授業時間を平等にするのを第一義にしてカリキュラムを組んでたんじゃないかなあ。*1
だから、あの時間は、特殊学級担任の空き時間、というだけの時間だったのかも。
……要は数字合わせ。
まあ、きちんとその機械の準備をして、かたづける、という作業ができているのは立派でしたが。(最後、手作りとおぼしき布カバーをその機械にかけていた)
その特殊学級も、私の採用期間が終わる直前、女の子が一人転入してきて、その子が件の男の子と違って人の話は聞かないわ自分のやりたいことしかやらないわ、しかもすぐ気が変わるわ、転入生なのに元からいた男の子を使いだてするわで大騒ぎでした。
特殊学級は大変だ……と、最後は思わされました。
それまでは、むしろ一番頭を使わない時間だったんですが。
まあその。
特殊学級というのは実際大変な仕事で。
その次に行った学校でも、5人の子どもを2人で見ててんてこまいでしたから。
それでもあのころは、「言うこと聞かない子どもらで大変だなあ」というくらいの認識でしたが。
仲間わけ
仲間わけ その2
最近上のブログの記事を見て「これが『個に応じた教育』というものか!」と思わされました。
特殊学級の教育とは、かくも高度なものなのです。
たぶん普通は。
まあ、「あの子はおとなしいから、週に一時間くらい素人に任せても大丈夫だろう」……という判断があったのかも知れませんね。
これが「個に応じた教育」というものか!
……違いますねそうですね。
まあ、そういうこともあります、ということで。
どのみち、週に一時間だけのことですから、それであの学校の特殊学級の水準を語ることもできませんし。
とりあえず、官僚主義は正しい教育を阻害する! という、誰も反論しないことを結論ということにして終わり。
*1:低学年は授業時間が少ないので、音楽と理科は低学年担任に頼む、などして調整しないと、高学年担任の負担ばかりが増えてしまうのです。