あれからもう……10日になるのか……。
……ってそれだけかよ。
さて。
一日目は、
朝・駅に集合
車中で昼食
帝国劇場にて観劇
夕食(校長の知り合いが経営するレストラン)
チェックイン(8:00)
……という予定でした。
それが、
「この予定だと、昼ご飯が早すぎるんじゃない?」
「帝国劇場の中でご飯食べられるわよそうよそうよ」
……という話になったのがたしか旅行の2日くらい前。
まあまあ、そうあわてずに。
弁当は、すでに旅行会社を通じて「しだし食堂(仮)」に手配してありますから大丈夫。
よく、仕出し弁当の残りを
「ほら、K村先生、今晩のご飯にしなよ」
「明日の朝の分もあるよ」
なんて言って押しつけておみやげに下さったりしますけど。
まさか10食分以上も私が持ち帰ると思ってるんですか?
……帝劇の中で仕出し弁当を食べる羽目になりました。
現地まででっかい弁当の包みを持って下さったH先生、Y先生、お礼の言葉もありません。
それと、「何度も来てるから」と、有楽町駅から帝劇までの案内をして下さった某先生も。
予定では、帝劇の開場以前に到着してしまう予定だったんですが、先生のおかげで帝国ホテルと宝塚劇場の見学(外から)をした上に、開場ぴったりに現地に着くことができました。
「……なあK村先生。今、どっちに向かってるんだ?」
「えー……、南下してますね」
「うわ、方位磁針持ってきてるよ旅行委員」
「えーと、左手に線路が見えますから……(地図をぐるぐる回す)」
「っていうか、線路沿いに歩いちゃだめなんじゃないのか地図から言うと」
「……えー……。地図上に現在地を発見できませんでした」
駄目ナビゲーションシステム。
……いや、私のことですよ? 某先生じゃなくて。
H先生、Y先生、お礼の言葉もありません……。
あ、某先生にもありません。
ついでに言うと、あの日、帝劇二階のゴミ箱が、幕の内弁当の箱でいっぱいになっていたのは我々の仕業です。ごめんなさい。
「ほら、『しだし食堂』の宣伝にもなるしね」
「東京から客が来るかぁーッ!」
っていうか、食べ終わったら、蓋と本体に分けて重ねるとかしようよ、先生たち。
しかし、前席のおばちゃんたちは、休憩時間、座席のままむしゃむしゃ弁当を食べてましたよ。
他人の弁当の香りが混ざりあった、なんとも言えない油くさい臭いが。
高校時代、昼休み後の教室に入ると充満していたあの臭いを、よもや帝国劇場で嗅ぐことになろうとは。
同じ休憩時間、校長はビールを買って他の男の先生に勧めていたので、私はこっそり隠れました。
酒嫌い。
で、こっそりアイスクリームと抹茶ムースなんかを買ったりして。
左党なのです。
ウラー!
アルコールは人民のアヘンである!(極論)
ところがアイスクリームはやたら固くて、スプーンが通らず。
「こ、これを休憩時間が終わるまでに食べろと?」
「スプーン折れそうですね」
「もしや、これは買ってはいけない商品だったのでは。売店のお姉さん、内心で『ハ! 素人が!』とか思ってたのでは!?」
「いや、じゃあ売るなと」
ツッコミ担当は、1年担任のS助教諭でした。お世話になります。
アイスクリームは気合いでなんとかしましたが、抹茶ムースは食べきれず、ホテルで食べるべくナップザックの中へ。
えー、「喜劇 大吉夢家族」の感想ですが。
(ネタばれここから)
うーん。
登場人物が多い割には上手くまとめた、というところ。
ただ、主軸になるストーリーは、踊りの師匠、花子の恋物語だと思うのです。
ところが、劇のクライマックスは、花子の父親が見つかることになっていて。
しかも、
1:花子の母は、実は最初から父親の所在を知っていた。
2:しかも、父親本人は声だけで、劇には最後まで登場しない。
3:花子が父親を嫌っている、という事実が、何度か台詞で語られるだけで印象が弱い。その分、最後に父親を許す場面の印象も薄い。
4:しかも、父親を許す理由が「借金を肩代わりしてもらったから」のように見えてしまう。
……という問題が。
で、肝心の、花子の恋物語は、何かよく分からないうちにうやむやに終了。
お相手の画家は、あれだけ「愛しています!」とか「一緒に東京に戻りましょう!」とか言ってたのに、なんだかあっさり去っていくし。
……ねえねえ、大人の恋ってあんなものなの?
物語的には、前半のラスト、結婚式の場面で終わって良かったんじゃないかなあ。
まあ、後半が始まって、花子が行方をくらませていたのには驚いたけどさ……。
その花子を主軸に、複数のサブストーリーが絡んでいくわけですが。
一番「ドラマ」としてまとまっていたのは、冒頭で「あの人と離婚する!」と言って家に戻ってきた娘さんの話かなあ。
1:夫が昔の女に産ませた子(最近「昔の女」が事故死して、初めてその存在が明らかに)の面倒なんか見られない。(課題の発生)
2:幕間劇で、追いすがる夫とのケンカをする様子が描かれる(困難さの強調)
3:母が再婚する結婚式で、つい夫の世話を焼いてしまう。事情を知らない弟から、お似合いの夫婦だと言われる。(精神的な変化の予兆)
4:自分が懐妊した際、実は彼女自身が母の実子ではないことを祖母から聞かされ、ついに思いを翻す。(課題の解決と精神的成長)
……と、きれいにドラマになっているかと。
「4」が、いささかご都合臭いけど。
でもそれは、行方不明の父親が突然ブラジルから2億円振り込んで借金を帳消しにしてくれるラストだってそうなんだよね。
多少の伏線はあるとはいえ、「デウス・エクス・マキナはブラジルにいた!」って感じ。
浜 木綿子(はま ゆうこ……って。 帝劇のホームページでは区切ってあるんだけど。
でも、「浜木綿」は「はまゆう」だけど、「浜 木綿子」って区切ったら「はま もめんこ」だろ。「百日紅(さるすべり)」を「百 日紅」って区切るか?)の演技もよくわからぬ。
演劇の台詞回しって、もっと力の入ったのを想像してたんだけど。
あの肩の力を抜いた演技が、つまり名演なのかなあ?
演劇はあまり機会がないからわかんないや。
(ネタばれここまで)
ともあれ、「加藤茶や浜木綿子のファンは見て損はないでしょう」ということに。
……ゲームとかで「原作のファンは買って損はない」……とかいうレビューがあったら、それは……だけどな。
こうして、観劇を終え、再び有楽町駅へ。
なお、休憩時間中に、同日に研修が入っていた養護教諭が合流。
「駅から何分かかりました?」
「5分かな」
通常の3倍のスピードです!