「ダウト!」「……今のはほんとの読み間違いです」

アニマシオン、というやつをやってみました。
 
「アニマシオン(animacion)」という語自体は、「命を吹き込む」「楽しみを与える」という意味らしく。
 
ですから、読書指導の一環として行われるものは「読書へのアニマシオン」と呼ばれるのが本来なのかな、と感じるのですが、「読書への」を略して言われることも多いみたいですね。まあ、外来語にはありがちなことですが。*1
 
要するに、本を題材にしたクイズやゲームを通し、読書の楽しさを知り、物語を深く読み取る喜びを味わおう、ということですね。
たぶん。
 
参考にしたのは、柏書房の「はじめてのアニマシオン」。*2
 
今回扱ったのは2年国語の「お手紙」。
 
どんな話だか知らない・忘れてしまった、という方は、下のサイトをどうぞ。
http://www.nara-wu.ac.jp/fusyo/kodomokan/Bungakukan/otegami/otegami1.html
……著作権とか、大丈夫なのか、これ。
 
まずやったのは、「これ、だれのもの?」
担任が、絵を描いたカードを見せます。
子どもたちは、それが誰の持ち物か当てます。
 
担任「さて。これはなんだろう?」
児童「ゆうびんうけ!」
担任「そうだね。これ、だれのもの?」
児童「がまくん!」
 
担任「さて、これは誰のものかな?(ボールペンの絵)」
児童「がまくん!」
担任「ほほう。それじゃあ……これは?(鉛筆の絵)」
A児「あ……あれ?」
B児「がまくん……?」
C児「あー、まちがえた!」
 
これはまあどうでもいい質問で。
「ちょっと警戒しないといけないぞ」……というメッセージです。
 
担任「これ、だれのもの?(切手の絵)」
A児「かえるくん!」
B児「えー? まって?」
C児「ふうとうに入れたとはかいてあったけど、切手はかいてなかったよ?」
担任「おやおや。それじゃあ、かえる君は、手紙を出すのに切手を貼らなかったのかな?」
C児「うん。そう」
 
その通り。
手紙を託されたかたつむり君は、郵便屋さんではありません。
純粋な善意から、手紙の配達を引き受けたのです。
これは、そこに気付いてもらうための質問です。
 
他にもいくつか問題はありましたが、割愛。
 
次にやったのは、「ダウトを探せ!」。
 
担任「今から、先生が『お手紙』を読みます。 先生はなにしろプロなので読み間違えたりしません。 ……が、もしも万が一間違えたら、大きな声で『ダウト!』……って言って下さいね」
 
間違えるところはこんな感じ。(一部)*3

  1. 今、一日のうちの かなしい時なんだ。>「うれしい時なんだ」に。「お手紙を待ってるのにうれしくないの? なんで?」と聞くと、子どもたちはいろいろ教えてくれました。
  2. だって、ぼく、お手紙 もらったこと ないんだもの。>「たまにしかないんだもの」に。 「ちがうよ、いちどもないんだよ。だからかなしいんだよ」
  3. すぐやるぜ。>「あとでやるぜ」に。>「ダウト! かたつむりくんは、すぐやるっていってくれたんだよ」「ふーん。じゃあ、すぐやったんだね?」「うん。でもね……」
  4. かたつむりくんは、まだ やってきません。>「むこうから、かたつむり君がやってくるのが見えました」に。
  5. だって、ぼくが、きみにお手紙出したんだもの。>「なんでそう思うのかは内緒だけど」に。

 
一問進めるごとに、「なんで?」「どうしてかなあ?」などと質問しました。
それを考えた上で問題を作ったわけで。
普通に授業を進めるより、子どもたちが熱心に答えてくれた気がします。
 
ただ、これ、このままだと評価がうまくできないので、うちみたいな小規模校でない限り、授業でやるならちょっと工夫が必要ですね。
 
「先生、ほんとはわざとまちがえてるでしょ?」
「……今頃気付いたのか」

*1:例えば、「ミシン」の語源は「ソーイングマシーン(=「縫製装置」)」です。
してみると、「ミシン」だけだと「装置」という意味にしかなりません。
だからって、今更どうにかしようという人もいないわけで。

*2:この本もそうだし、ネット上のサイトで見てもそうなのですが、たいがい「〜〜というタイトルの本を使って、このような活動ができる」という形式の紹介になっていて。
その問題の本がないと、どんな活動になるのか具体的なイメージが湧きづらいのです。
 
ただ、これはつまり「活動のあり方は、一冊一冊の本ごとに考える必要がある」ということなのだろうと考えました。
 
ちょっと気軽に考えすぎでした。

*3:「決して、行き当たりばったりに間違えるところを決めてはいけない」とは、参考文献の教え。
実施してみて、その通りだと思いました。