賢い資産運用ガイド。

夕刻、職員室のパソコンの電源を落として帰ろうとしたら、Y先生が「待って待って、その前にちょっとデータを調べたいことが」
 
と言ってネットにつなぎ始めました。
 
職員室のネット接続は、確か
ダイヤルアップルータ>ハブ>個人端末
という経路で動いているので、職員室のデスクトップが動いていなくても繋げるはずなんですが、まあそれはともかく。
 
「あのねえ、まあ、株……とは違うんだけど、ちょっと投資信託の値段をチェックしてるのよ」
「へえ」
他人を引き留めたという後ろめたさからか、聞いてもいないのに教えてくれるY先生。
 
「グローバル・ソブリンってやつなんだけどね」
「えーと、投資信託と言うと、預けたお金をあちこちに投資して増やしてくれるやつですか」
「そうなのよ。世界各国の株とかに投資するから、一つ落ち込んでも他が支えてくれるわけよ」*1
「へえ。いくらくらい持ってるんですか?」
「え? うーん、いくらあるかは恥ずかしいから言えないけど、最初は100万から始めたの」
 
……結婚してるはずだけど、個人の貯金なんだろうか。
 
「買った当初は損してたんだけど、毎月ちょっとずつ買い足していったわけよ。そうすると、安い時もあるから平均されて良くなるわけ」
 
たぶん「ドルコスト平均法」の話ですね。
外貨預金をするとして、毎月10000円分のドルを積み立てていくのと、毎月100ドルを積み立てていくのとどちらがいいか、と言う話で(数字は何でもいいんですが)。
一見どちらも同じようですが、比べると毎月10000円分のほうが成績がいい、という話です。
理由は簡単で、そうすると、結果的に「高い時は少し買い、安い時はたくさん買う」ことになるから。
 
「買った当初は値下がりして、しまったー、って思ったんだけどね。今は10000円くらい得してるかな。たった一万円だけど、銀行に預けることを思えばねえ」
 
確かに。
 
「友達から勧められて買ったんだけどね。『大きい会社だからつぶれないし、利回りはいいし、損しないように保証されてるから』って言われて、えっ、そんなにいいの! って思って買ったのよ」
 
おい。
 
「よく調べないで買っちゃったんだけど、投資信託って相場があるのね。後で調べたら高い時に買っちゃってて。まあ、その友達もよくわかってなかったんだわね」
 
あはは、と笑うY先生。
 
「……ははあ……」
 
なんというか、古典的な「ノーリスクハイリターン」式の勧誘だと思いますがどうですか。

  • 必ずもうかる
  • 損はしない
  • 大企業なので大丈夫

……今時、これで買う気になる人がいるとは思えなかったんですが……。
 
身近にいました。
 
……「純金ファミリー契約証券」とか「オレンジスーパー定期」とか買ってませんかY先生。
豊田や参議院議員がバックに付いてるから安心ですよ?*2
 
金融商品は、株価・為替変動等により元本割れすることがあります。
商品の性質をよく理解した上、自己責任でご購入下さい。

*1:その代わり、どこかが急成長しても他が足を引っ張りますので注意。

*2:豊田商事トヨタ自動車は無関係です。ていうかすでに倒産して会長が刺殺されてます。
友部達夫は……本当に参議院議員でしたがすでに有罪になってます。