ゲーム版シスター・プリンセス又聞きレビュー

なんとなく、私の弟紹介になる気がする。
まあいいか。
 
みなさん、シスター・プリンセスというゲームをご存じでしょうか。
 
……知らない、という人にどう説明すればいいのか、かなりの難問なんですが……。
 
ええと、まず、世の中には「恋愛シミュレーション」というゲームのカテゴリが存在します。
「シミュレーション」がつくゲームのカテゴリは、「経営シミュレーション」「戦略シミュレーション」「フライトシミュレーション」など多々ありますが、その中でおそらく最もシミュレーション精度の低いカテゴリが「恋愛シミュレーション」です。
 
つまるところ、ゲーム内の主人公を操作して、ゲーム内に登場する女性キャラクターと会話したりどこかへ出かけたりし、その中で親睦を深めると、おおむねそれが主軸となるゲームです。
 
「主軸になる」というのは、それに加えて背景設定による味付けが加わるからです。
背景設定には、
「主人公は高校生で、女性キャラクターは同級生たちである」*1
「主人公は軍人で、女性キャラクターは部下たちである」*2
など、多数のバリエーションがあります。たぶん。
 
いずれのゲームも、究極的には「女の子キャラクターと仲良くなってうれしい」という満足感を得るのが目的なのですが(たぶん)、「高校生が相手じゃ興味を引かれない」とか、いろいろプレイヤーの趣味があるのだと思われます。 
 
で、今回のゲームの背景設定がどういうものかというと。
……ええと、メーカーによる紹介を読んで頂くのが一番いいでしょうか。

ある日突然、あなたに12人もの妹ができたらどうしますか?

それも……とびっきりかわいくて
とびっきり素直で
とびっきり愛らしくて
とびっきりの淋しがりや。
しかも、そのうえ……
彼女達はみんなみんな、とびっきり!
お兄ちゃんのコトが大好きなんです……

……そういう設定みたいです。
 
今回このゲームをプレイしたのは私の弟ですが、少し前までは、
恋愛シミュレーションをタイトルだけで確実に判別する方法はないか」
と私に尋ねるような人でした。
 
私「なんで?」
弟「ゲーム屋でゲームのタイトルを見て、『どんなゲームなんだろう』と思って手に取ったら実は恋愛シミュレーションだった、という事態を防ぐためだよ」
私「なにか不都合なことでも?」
弟「いや。ただ、あの手のゲームは手に取るだけでも汚らわしい」
 
その彼がなんでまた一ダースの妹と過ごすゲームをやっているのかというと、

  • 情報工学科大学院に在籍している。
  • 遺伝的アルゴリズムを使って、DDRの足譜を自動的に生成することができると思うんだけど、こういうことを言うと研究室で変わり者扱いされるんだよ」みたいなことを言う変わり者。
  • AIぽいものが好き。「どこでもいっしょ」もやったし*3、「女神転生if」なんかは、全部の悪魔と友好度が最大になるまでダンジョンをうろついていた。「会話してるだけで楽しいんだよ」とは本人談。「いただきストリート」とかも、ライバルキャラクターがあれこれしゃべるのが好きらしい。

そんな事情で、「人工のキャラクターと会話するのが楽しい」ということから、だんだん恋愛シミュレーションに流れて来たわけです。
 
弟「……というわけなんだけど、何かいいゲームはないかなあ」
私「いや……。私も、そういうのは持ってないし。しかし、『悠久幻想曲』など、続編があれほど出ていると言うことはそれだけ出来がよいのではないかな」
 
数ヶ月後。
弟「『悠久』は、第二作まで一通りクリアしてしまいましたよ。」
私「どうだったの?」
弟「『1』はおよそ単調な作業が続くだけの駄目なゲームで、『2』はその問題点をことごとく克服したゲームでした」
私「『3』もあるみたいだけど?」
弟「ネット上の評判で、『一番嫌いなのは3』とか言う人が少なくないので怖ろしくてやってない。 ……ああ、ちょっと2にも不満点が」
私「何?」
弟「プレイ中は、主人公と同僚は普通のほのぼのとした関係なんだけど、エンディングでなぜかいきなりラブラブになるんですよ。 それが『なんで?』って感じ」
私「……ううん……。そこに不満を抱く人は少ない気もするが……」
弟「で、他になにかオススメのゲームはないかな」
私「私に聞くのは大変間違ってると思うんだけど。しかし、『シスター・プリンセス』なぞ、ファンも多いようだし、名作の誉れ高いゲームらしいがどうかな」
 
……という経緯。
 
で、ようやっと弟によるプレイ報告です。
 
弟「ああ、シスター・プリンセス、クリアしたよ」
私「どうだった?」
弟「うーん。声優の演技は悪くないし、キャラクターの性格付けもちゃんとしているし、インターフェイスもまずまずだった」
私「ほほう」
弟「でも、ゲームの内容的には、妹と会って会話をして、選択肢から返答を選ぶだけなんだよ。戦略性が低いと思う」
私「あの手のゲームに戦略性を求めるユーザが少数派なのではないかな……」
弟「あれは、ゲーム理論的に言うとゲームではないね」
私「私なら『コスティキャン的に言うと』と言うところだが」
弟「しかし、会話が楽しいのは事実で、プレイしながら『2』まで買ってしまったわけです」
私「おお。勧めて間違いではなかったようでよかった」
弟「いや……それが」
私「何か?」
弟「マルチエンディングらしいので、あれはたぶんバッドエンドではないはずだと思うんだけど……」
私「?」
弟「なんか、エンディングで、妹とラブラブになっちゃってさ……」
私「…………」
弟「兄妹仲がいいのはいいことだとは思うんだけど……」
私「……いや、確か、あれは義理の兄妹という設定だと聞いたような気が」
弟「うん。 けど、それが判明するのは最後の方でさ。 それが分かる前にキスとかしてはやっぱりまずいだろうと」
私「ううん……そうだねえ……」
弟「あのゲーム、なんで妹である必要があったのかな」
 
……それは根源的すぎる質問ではないかと。
 
彼に勧めてやるべき次のゲームはなんなのでしょう。
お心当たりの方、ご教示下さい。

*1:代表例「ときめきメモリアル」。第一作を一回だけやった。

*2:代表(たぶん)例「サクラ大戦」。第二作の途中までやった。

*3:「トロと流れ星」とか「私なえほん」とかは、AI性が低いので興味ないらしい。