ハムスターを購入すること(後編)

前編はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/filinion/20050529/1117382422
 二回もかけて書くことかね? 自分。
 
 まー、それで、とにかく大きくならないハムスターをつがいで買うべく、別なお店に向かったんです。
 
 行った先は、ペットショップというよりホームセンター。
 ペンキとか電動ドリルとかと一緒に売られているハムスターというのもどうか、などと思ったんですが。
 
 専門店と違って、店員の知識がどの程度あるか不安でしたし。
 
 それでもとりあえず、売り場に行くと、そもそも店員がいません。
 
「すみませーん、ちょっとお願いしまーす」
 
 奥の事務室から出てきたのは犬でした。
 
 えー、犬には詳しくないけど、白の、イングリッシュ・セター……かな?
 
 「いや、おまえさんの犬種などどうでもよくてだな。
  人間はおらんのか」
 
 しばし犬と語らっていると、ようやく人間の店員登場。
 売り場で大型犬が放し飼いですか。
 ていうか売り場じゃなくて事務室。
 
 犬の後から出てきたおねえさんに事情を話して相談すると、
 
「特に、種類によって飼いやすさに違いはないですねー。
 ただ、そういう事情で飼うなら、子どものハムスターを飼って、だんだん大きくなった方が楽しみがありますかねー」
 
 なるほど。
 そんなこと全然考えてなかった。(駄目駄目)
 
「そうなると、このジャンガリアンとかですかねー。
 この子たちは生まれて3ヶ月くらいなんですよー。
 こっちのゴールデンとかは、もう大人なんでー」
 
 見れば、パソコンのマウスより一回り小さいくらいのゴールデンハムスター
 
「……ゴールデンは大きくなると聞いたんですが?」
「そうですねー。ジャンガリアンとかロボロフスキーとかは小さい種類なんですけどー」
「いや、なにやらゴールデンはこの倍くらいになるとかいう話を」
 
 店員さん、しばし絶句した後、
「……そういうのは、見たことないですねー」
 
 やはり専門店じゃないと知識が不足なのでしょうか。
 
「つがいで飼ってはどうか、と言われてるんですが、増やす事ってできますか?」
「そうですねー。 年に何度か生まれますねー」
「そういう場合って、どうすればいいですか?」
「えーと、こちらに持ってきて頂ければ、引き取りという形になりますねー。
 申し訳ないんですけど、買い取りというのはやってないんでー」
 
 なんと! そんな制度があるとは全然知りませんでした。
 増えすぎて困っている、みたいな人もいると聞いたんですが……。
 そういうのが捨てられて野生化して、民家の台所を荒らしたりするというのに!(半ば嘘)
 
「あー、なるほど。
 いや、そうじゃなくて、生まれた場合の世話とか」
「ああ。
 そうですねー、子どもが生まれると、メスは気が立ってるんで、バスタオルとかでおおって暗くして、静かなところに置いておいてください」
 
 小学校の敷地内に、静かな所なんてありませんよ?
 
「えさやりとか掃除以外はそっとしておくんですよー。
 そうしないと、メスが子どもをたべちゃうんでー」
 
 げ。
 
「まあ、そうはいいつつ、ついつい掃除とかにかこつけてのぞいちゃうんですけどー。
 8匹うまれたはずなのに2匹しか残ってない、とか、ザラですねー」
 
 ひぃ。
 
 愛好家には周知の事実なんでしょうが、ちょっと衝撃。
 よく、どんな動物でも自分の子どもをかわいがるもので、児童虐待というのは人間特有の病理だ、みたいなことを言う人がいますが、それは全然違うんですね。
 「母性神話」という言葉の意味をかみしめました。
 
 メダカだって、放っておくと卵とか稚魚を親が食べちゃうけど。
 哺乳類にやられると陰惨さが倍増。
 
「……でも、どうしても、というんでなければ、オスメス両方飼うのはやめた方がいいかもしれないですねー。
 ここ、一緒に入れてるオス同士メス同士は、ここに来てからけんかしたことないんですけどー。
 でも、ここからオス一匹メス一匹出して一緒にした時、けんかしないとは言い切れないですからねー」
 
 このホームセンターでは、オスとメスをそれぞれ別々のケージに入れて飼育していました。
 
「けっこームゴいですよー。
 こないだも、旦那が奥さん食べちゃいましたからねー」
 
 ぎゃあー。
 そんな猟奇的な。
 万一子どもたちの前でそんなことになったら情操教育どころの騒ぎではないですよ。
 
 ……やむなく、ケージや餌などとともに、オスだけ2匹買って帰りました。
 
 子どもたちには、「大きい方がメスだよ」なーんて嘘をついてみたり。
 「子ども生まれる!?」
 「んー、まだこのハムスターは子どもだから、すぐには生まれないよ」
 
 ……仕方がなかったとはいえ、子どもをだますのは胸が痛みます。少しだけ。
 
 しかし、いろいろ店員さんの話を聞いて思ったのですが、夜行性のハムスターにとって、小学校の教室というのは、あるいは過酷な環境なのかも知れません。
 正直、「ムゴいですよー」のあたりから、ハムスターを飼うことにしたのを後悔しつつあったのですが、子どもたちに約束した以上、仕方ありません。
 頼むから、ストレスに負けず、仲良く長生きしておくれ。
 
 この計画、前の学校で、教室でハムスターを飼っている先生(と、「飼っていたけど去年死んじゃった」先生)がいて、それの真似だったのですが……。
 
 なんで1匹で飼っていたのか、初めてわかりました。
 
 にしても、結局オスだけ2匹飼うんだったら、最初のペットショップでメスだけ2匹買っても話は一緒……というか、1匹あたり1000円くらいそっちの方が安いんですが!(ペットショップの方はおよそ3分の1の値段)
 
 でも、ホームセンターの方が、ここに書いた以外にも事細かに飼育の相談に乗ってくれましたし、売り場もきちんと温度管理がなされ、ケージの中にハムスターの隠れ家がちゃんと設置されているなど、好感が持てたのです。
 安いのを買って早死にしたら子どもがかわいそうですから。
 
 それに、ペットショップのほうのハムスターを買うと、大きく育って大変なことになるかも知れませんからね。