ハムスターを購入すること(前編)

 わりとどうでもいい話です。
 
 ハムスターを教室で飼っています。
 情操教育とか生命尊重とか係活動に責任を持つこととか、そういうことを学ぶために。
 
 保護者にはあらかじめ了解を取りました。
 昨年はぜんそく持ちの子がいて飼えなかったのです。
 
 「メダカとかの方が楽ですよ」なんて言われたんですが、私は水槽の掃除が嫌いなんです。
 重いし。臭いし。
 第一メダカなんて見てても全然面白くないぞ。
 
 教務主任が、「飼うならつがいで飼ったらいいだろう」と勧めるので、そういう方針に。
 
 「……というわけなのだけど、みんな、名前は何がいいか考えといてね」
 「ハム太郎とリボンちゃん!」
 「だめ」
 「えー、なんでー」
 
 創造性がないから、というのが理由なんですが。
 それを君ら2年生にどう説明しろと。
 
 「これから飼うハムスターは、ハム太郎でもリボンちゃんでもないハムスターだからです。
 他人の名前を付けても仕方ないでしょ?」
 「うーん……」
 
 おお、これは我ながら最近の屁理屈の中で一番の出来だぞ!
 
 「じゃあ、ミップルとメップル!」
 「ハムスターなのかあれは」
 
 そんなわけで名前については案を考えさせることにしてペットショップへ向かった担任ですが。
 
 最初に行ったペットショップ。
 ハムスターと一口に言っても、ゴールデンだのジャンガリアンだのロボロフスキーだの。
 
 「……という事情なんですが、どれがいいですかね?」
 
 店員の、えらくやせたおばあさんが、
 
 「ジャンガリアンがいいんじゃないですかネェ」
 「ジャンガリアン、雄雌両方いますか?」
 
 おばあさん、一匹ずつ取り出して、
「これは……メスですネェ。これは……メスですネェ」
 結局メスしかいません。
 
ゴールデンハムスターは飼いにくいですか?」
「ゴールデンはネェ、オオキくなりますヨ?」
 
 言われてゴールデンのケージを見ると、すでにどの個体も「手のひらサイズ」といえるぎりぎりの大きさ。パソコンのマウスよりちょっと小さいくらいですか。
 
「これより大きくなるんですか?」
「なりますネェ。 この倍くらいになりますネェ」
「倍っ!?」
 
 するとおよそ、250ml入りのジュースの缶くらいですか。
 なんと、ハムスターといえば小動物だと思っていましたが、そんなにでかくなるものだとは。
 子猫より大きいじゃないですか?
 
 ペットとして飼いきれなくなったハムスターを逃がす飼い主がいて、これが野生化して生態系を乱すおそれがある、という話を聞いたことがあるのですが、なるほどそれもむべなるかな。
 
 もちろん、大きさ=種としての強さ、ではありませんが、それにしてもそんな子猫並みの大きさになるうえにネズミ算式に増えるのでは、カヤネズミ・ハタネズミ・ヒメネズミなんかの在来種が太刀打ちできようはずもありません。
 なんて恐ろしい。
 
 この分だといずれ、夜中物音に目を覚ますと、どこからともなく入り込んだばかでかいゴールデンハムスターが、台所で買い置きの米だのパスタだのをぼりぼりと! なんてことが起きるかも知れません。
 ぎゃあー。野生ゴールデンハムスター断固駆除すべし!
 
 ともあれ、求める買い物ができなかったので、ゴールデンハムスターの恐怖にうちふるえつつ、別なお店に向かいました。
 
 今日は疲れたので続きはまた今度。
 
 (ゴールデンハムスター愛好家の方、怒りのメッセージとか送ってこないでください)
後編に続く。
http://d.hatena.ne.jp/filinion/20050530/1117468868