「見える化」の魔力とは、自分の(続きはwebで!)

 昨日の記事で書いた校長の話。
(昨日の記事はこれ→もう過ぎた冬至の話。 - 小学校笑いぐさ日記
 
 その校長は学校ブログの更新に大変熱心で、毎日の閲覧数の増減に一喜一憂していました。
 
 なんか、「全国学ブログランキング」とかいうものがあるらしく、そこでの順位が市内の他の学校より上だとか下だとか。
「~~小学校(児童数が同じくらいの学校)には負けない!」
 みたいな。
(市教委の号令があって、市内の学校はみんな同じサービスでブログを開設していたんです。はてなではない)
 
 念のために言っておきますが、ブログが何万人に見られようが、一文にもなりません。
 
 まあ、学校の情報を保護者に発信する、開かれた学校づくり、という意味では、更新が頻繁なのはいいことかも知れませんけど……。
 
 さて、学校では、夏休みや冬休みの前には「終業式」というものがあります。
 児童指導主任から「長期休業中の過ごし方について」みたいなお話があったり、校長先生からありがたいお話があったり。
 
 で、ある終業式のこと。
 
校長「今学期、皆さんには、3つがんばったことがありました。
 1つ目は、あいさつがすばらしかったことです。例えば…(中略)。
 2つ目は(中略)。
 3つ目は、今日、学校のブログに書いておくので、お家の人に頼んで見せてもらって下さい」
 
「続きはwebで」だ! リアルでやる人初めて見た!
 
「そこまでして閲覧数を稼ぎたいのか……」
 
 しかし、子どもにとってはその場でほめてもらった方が当然うれしいわけですし。
 学校がブログを開設するのは情報開示のためですが、わざわざ子どもに情報を伏せてブログの方に載せるのは、むしろそれに逆行するわけで。
 
 要するに、ブログの閲覧数を増やす以外のメリットが何もない。
 
 もちろん、ホームページの閲覧数を運営者が気にするのは今に始まったことではありません。
 私だって、過去、ここのブログ記事がホッテントリ入りした時には、日に何度もブコメを確認したりしましたし。
 一文にもならないのに。
 
 しかし思うに、私たち以降の世代は、ホームページ運営とか、ゲームとかを通して、
「やったことが直ちに数値化され、ランキングが可視化される」
 という経験にそれなりに慣れてるわけで。
 
 ところが、校長の世代は、あまりそういう機会がなかったのだと思います。
 だから、ブログ閲覧数がブログ全体と記事ごとにリアルタイムで集計され、他校とランキングされる、というシステムの魔力にハマってしまったんだろうなあ、と感じました。

もう過ぎた冬至の話。

 もう時効だと思うので書きますけど。
 
 以前私が一緒に勤務した校長先生、いつもブログを更新してるんだけど、ある時、子どもの名前を間違えて書いて、保護者からクレームがあったんですね。
 
 そしたらブログに
「ブログ記事は全職員で目を通すようにしておりますが、チェックが行き届かず申し訳ありません」
 って「お詫びと訂正」が……。
 
 えええええ。
 自分で書いた記事にミスがあるのを全職員のせいにすんなよ。
 
 いや、職員が
「みんなブログ見ろ」
 って言われてたのは事実(ブログ閲覧回数をすごい気にしていた)だけど、我々も公開されてから見るんだから、公開されたものに誤りがあるのをこっちのせいにされても……。
 
 あ、でも、一度だけ、校長が書いたブログ記事にダメ出ししたことあります私。
「今日は冬至です。冬至は地球と太陽の距離が一番遠くなる日で……」
 
「うわあああ、こんなの公立学校ブログに載せたら、下手するとネットで晒されて大炎上してしまう!」
 慌てて校長に具申して(私はちゃんとブログ見てたんですよ。してない先生も多かった)修正してもらいました。(なお地球が遠日点に達するのは7月なのでその意味でも間違い)
 校長は(なぜか)渋ってたけど、私グッジョブだと思う。

ヘイト規制とオタク表現について。およびid:agricola氏との対話。

 昨年末の喜ばしいニュース。
www.bengo4.com
 ネット上で在日コリアン3世に対し執拗なヘイト行為を行っていた男性に、3年半を経てようやく罰金刑が、という話です。
 まだまだネット上にはヘイトがあふれているとはいえ、ともあれ良いニュースでしょう。
 
 ヘイト規制と表現規制についての私の立場を書いておきます。
 
 世の中には、
ヘイトスピーチ規制は、表現の自由を規制することに繋がるのではないか」
 と指摘する人もおり、それは懸念としては確かにもっともだとは思います。
 
 しかし、これまでも、我が国では無制限の「表現の自由」が認められてきたわけではありません。
「脅迫表現の自由」「名誉毀損の自由」「優良誤認広告の自由」といった「表現の自由」は法的に制約されてきたし、それは望ましいことだったと思います。
(いやまあ 、例えば
「『ガンが治る!』という広告にエビデンスを求めるのは表現の自由の侵害だ!」
 とか主張するトンデモ医療器具メーカーさんもいるので、そういう人たちは違う意見かも知れませんが)
 
 ですから、ヘイト規制が適切に行われるなら、それは社会にとって望ましいものになると思います。
 ……ましてや、それでオタクが困るとかまったく思いません。
 
 もちろん、それは「適切に行われるなら」という話で、地位も権力もある人が
「『保育園落ちた日本死ね』は日本ヘイトだ」
「反原発デモを見たら恐怖を覚えたのであれはテロ」
 とか言ってしまう最近の我が国では、ヘイト規制が本当に「適切に」行われるかどうかは予断を許しませんけれども……。
 
 しかしともかく、「ヘイトスピーチの自由」は「表現の自由」として保護する対象に含めるべきではない、というのが私の考えです。
 

ここからわりと私信。

 
 ところで、前掲の記事に最初についたブコメがこれ。

 

ネットのヘイト投稿、罰金30万円の略式命令 在日コリアンの女性「社会正義がやっと示された」 - 弁護士ドットコム

ねぇねぇ「わるいひょうげんをだれがきめるんだあー!」とか鼻息荒かった皆さん今何してんの?コミケで「表現の自由」を謳歌してるの?お前らが薄い本に入れあげてる間に「悪い表現」が有罪になっちゃったよ?(嘲笑

2019/12/29 10:20

 なんでやコミケ関係ないやろ。
 
 いや、これがもし、このコメントの前に、例えば
朝鮮人ヘイトが規制されたらオタク業界で一般的な朝鮮人ヘイト同人誌が作れなくなる!
 これは明らかに我々オタクに対する弾圧だブヒィ!」
 とか言ってるわけのわからんアホがいたならまあ話は分かるんですけども……。
 でもそもそも最初のブコメですからねこれ。
 
 私自身はコミケには行ってませんけど、大学時代に2度だけ行った思い出を大変懐かしく、また誇らしくも思っていますし、Twitterで知り合いのコミケレポートを楽しく・うらやましく読むくらいにはオタクなので、こういうコメントはいかにも心外です。
 
 そんなわけでやりとりが始まるのですが。
ネットのヘイト投稿、罰金30万円の略式命令 在日コリアンの女性「社会正義がやっと示された」 - 弁護士ドットコム

ヘイト表現はきちんと罰せられる社会でなければ…。/<a href="/agricola/">id:agricola</a>アニメや二次創作における表現の自由とヘイト規制がトレードオフの関係だとは私は思いません。どちらも守ることは可能だし、そうすべきだと思います。

2019/12/31 00:40

ヘイト表現はきちんと罰せられる社会でなければ…。/id:agricolaアニメや二次創作における表現の自由とヘイト規制がトレードオフの関係だとは私は思いません。どちらも守ることは可能だし、そうすべきだと思います。 - filinionのコメント / はてなブックマーク

一部オタクの唱える「悪い表現」を誰かが決めることはできないからエロ規制するな、という理屈を敷衍すれば「悪い表現」であるヘイトスピーチの規制と表現の自由トレードオフになる。萌え過ぎで脳が壊れてるのか?

2019/12/31 10:13

 えっ、萌え? エロ規制?
 
 なんでやエロ関係ないやろ。
 朝鮮ヘイトの話だぞこれ。
 
 朝鮮人3世女性へのヘイトが罰金刑になった、って話で、なんでエロ規制の話に……?
 
 どこの「一部オタク」の話をしてるのかわかりませんけど、この記事のコメントには
ヘイトスピーチ規制はエロ表現規制に繋がる!」
 とか言ってる人はいないし、前述の通り、私もそういう見解には与しません。 
ヘイト表現はきちんと罰せられる社会でなければ…。/id:agricolaアニメや二次創作における表現の自由とヘイト規制がトレードオフの関係だとは私は思いません。どちらも守ることは可能だし、そうすべきだと思います。 - filinionのコメント / はてなブックマーク

ヘイトスピーチ規制と表現の自由が難しい関係にあるのは事実として、ヘイトが罰せられた、という(喜ばしい)ニュースに対して「オタクざまあ!」と叫ぶのは、人権擁護というより単なるオタク憎悪なのでは。

2019/12/31 11:34

ヘイトスピーチ規制と表現の自由が難しい関係にあるのは事実として、ヘイトが罰せられた、という(喜ばしい)ニュースに対して「オタクざまあ!」と叫ぶのは、人権擁護というより単なるオタク憎悪なのでは。 - filinionのコメント / はてなブックマーク

「悪い表現を決める権利は誰にもない」と言ってる脳が壊れた連中は駆逐されろと思うことがすべてのオタクを憎悪することなのか。そいつは知らなかったぜ。勉強になるなぁ。ところでトレードオフになると認めるの?

2019/12/31 13:35

ヘイトスピーチ規制と表現の自由が難しい関係にあるのは事実として、ヘイトが罰せられた、という(喜ばしい)ニュースに対して「オタクざまあ!」と叫ぶのは、人権擁護というより単なるオタク憎悪なのでは。 - filinionのコメント / はてなブックマーク

適切にヘイト規制を行うなら、直ちにオタク表現とトレードオフになるものではないと思います。本件と何の関係もないコミケを持ち出して「悪い表現が有罪になっちゃうよ?」と謎の煽りをするのは藁人形叩きでしょう。

2019/12/31 14:39

適切にヘイト規制を行うなら、直ちにオタク表現とトレードオフになるものではないと思います。本件と何の関係もないコミケを持ち出して「悪い表現が有罪になっちゃうよ?」と謎の煽りをするのは藁人形叩きでしょう。 - filinionのコメント / はてなブックマーク

「悪い表現は誰にも決められない」なら「ヘイトスピーチ(という悪い表現)に該当するか決められない」と指摘する嫌味に自分の信仰を開陳しても無意味。「表現」を勝手に「オタク表現」に限定するのも不誠実だな。

2020/01/02 21:44

 ……それでまあ、いいかげん積み上げられたブクマタワーを追うのも面倒だし、100字に収まるように書くのも大変なのでここに記事を書いているわけですね。
 そんなわけで、返信はここのコメントとかにしてくださるとありがたいです。>agricola氏
 
 それで、今ひとつ、id:agricola氏の立場がよくわからんのですが。
 
 前述の通り、
「ヘイト規制を適切に行うなら、必ずしも表現の自由を侵害することにはならない」
 というのが私の考えです。*1
 
 話を「オタク表現」に絞ったのは、そもそもagricola氏がコミケやら「一部オタク」やらの話をしてたからだと思うんですが、なんだか不誠実らしいので表現の自由一般の話とします。
 
 それで、そういう私のコメントに対してトレードオフになると認めるの?」だの「自分の信仰を開陳しても無意味」だのおっしゃるってことは、agricola氏から見ると私の見解は「信仰」に過ぎず、氏としては、
ヘイトスピーチ規制は、表現の自由と直ちにトレードオフになるものである」
 とお考えだ、ってことなんでしょうか。
 
 まあ……そういう、
「あらゆる表現規制は公権力による言論弾圧に繋がる! 表現の自由は無制限であるべき!」
 みたいなラジカルな立場の人がいるのは知ってますけど……。
 でも、それはおそらく万人の万人に対する闘争、「マジョリティが弱者を踏みにじる自由」にしかならないと思うのですよね……。
 
 っていうか、それってagricola氏の脳内にいる「脳が壊れたオタク」の
「『悪い表現』を誰かが決めることはできないからエロ規制するな」
 と変わらなくないです?
 
 それともagricola氏は、
ヘイトスピーチ規制は表現の自由(オタク表現含む)への制約に直結する。そして私はそれを歓迎する!」
 というお立場なんでしょうか。
 
 最初のブコメを見る限り、それが一番近そうなんですが……他人の表現が制約されるのを喜ぶって、なかなか邪悪ではないでしょうか。
 
 ……いやでも、agricola氏って、過去はてブでお見かけする限りは左派的なコメントが多い(でも、しばしば文末に(嘲)とか(嘲笑)とか付いてるのでスター付けづらい)方だと思うので、そんな
「私は肉屋を支持する豚です!」*2
 みたいなことを言うはずはないとも思うんですけど……。
 
 とにかくよくわからんので、
「(ここにいない)一部のオタクは(ここではないどこかで)こう主張している」
 ではなくて、ご自身のお考えを述べて下さるとありがたいと思います。
 
 まあ……氏の内心を忖度するに、何か過去に変なオタクと関わり合いがあって、それで全然関係ない記事でフラッシュバック的にオタク批判を始めたんだと思いますが。
(私がオタク批判にいささか過敏になっているのと似ていると言えるかも知れませんが)
 
(上の引用には表示されませんけど、「萌えは脳神経を壊す」とかはてブのタグに書いてるのに、
「これは一部のオタクを批判したものでオタク憎悪ではない」
 っていうの、
「犯罪者の朝鮮人は日本を出て行け!」という発言が
「犯罪者である一部の朝鮮人を批判したもので朝鮮ヘイトではない」
 っていうのに似ていると思います)
 
 しかしそれは、女性のセクハラ被害を訴えるはずが「ヘテロ男性」全般を批判したり、原発反対を訴えるはずが「疑似科学批判クラスタは体制寄り!」とか言い出したりするのに似て、本来狙うべきでない相手まで巻き込むのは話をややこしくすると思いました。

*1:いや、「ヘイトの自由」も(「脅迫の自由」「誇大広告の自由」等と同様に)表現の自由に含まれる……と定義するなら別ですが。

*2:この言葉を使うと激昂する人がいるのでお断りしておきますが、「肉屋を支持する豚」というのは、
「私を含めた一般大衆は権力者から見れば全て豚であるのだから、我々は肉屋を支持すべきではない」
 という意味です。
「リベラルがオレをブタ呼ばわりした! だからリベラルは支持されないんだ!」
 とかお怒りの人が稀にいますが、ブタなのはあなただけではなく私もなのです。

保険セールスの方は読まないでください。

 どことは言わないけど、学校で保険の営業を受けています。
 そのセールス手法がひどいので覚え書き。
 
 元々、保険はもう入っているのでセールスなんか聞く必要はないんです。
 じゃあなんで聞いてるのかというと、学校の廊下で(校内に入ってくるわけですよ。もちろん勤務時間外だけど)
「校長先生の指示で、先生方に社会保障についての情報提供をしているので時間をいただきたい」
 って言われてうっかり了承してしまったわけですね。
 
 で、それが1回では終わらず、
「また来週お願いします」
 ですでに2回話を聞いていて、来週もまた「先生に合ったプランをご提案」しに来ることになっている。
 
 実は「校長の指示」っていうのは本校の校長ではなく、退職校長が役員に入ってるってだけの話だったわけですが。
「情報提供」ってのも、要するに日本の社会保障制度への不安を煽って商品を売るための話の枕だった。
 
 それで何がひどいかというと、客を欺く気満々のセールストークがひどい。
(最初の話を聞かせる段階からそうだったわけですが)
 
 話の途中で「あっ、これはただの保険セールスだ」と気付いた(遅い)私が
個人年金ならiDeCoに加入してインデックス投信を積み立ててるんですけど」
 と言ったところ、スクラップブックを取り出して
投資信託がいかに危険か」
 をご説明くださるんですが。
 
 まず、「たわらノーロード」(確か「8資産均等型」だったと思う)の
「~万円の積み立て投資が、~%の確率で~万円以上に」
 みたいな販売資料(だと思う)を取り出して、
「どうですか先生、この投資信託、いいと思いますか」
「その数字だけじゃよくわからんけどいいんじゃないですか(私は買ってないけど、確か積み立てNISAとかの対象商品に入ってた気がする)」
「ところがですね先生、これを見てください」
 
 と言って取り出したのが、投資信託の資金流入額・流出額の変動グラフ。
 
「このようにですね、投資信託というのは、ある月には一位になったのに、その直後に大幅にマイナスになってしまう、ということが起きるんですよ」
「ははあ」
「そして金融庁がなんと言っているかというとですね」
 
 と言って別な資料(新聞記事)を取り出し、
 
「まともな投資信託は全体の1%もない、プロでも選ぶのは困難だ、と、金融庁長官が言っているわけですよ!」
「ははあ」
 どこの新聞だったかは見ませんでした(だいたい、自分の言いたいことを言い終わるとさっとスクラップブックを閉じてしまう)が、内容としては、2017年4月、金融庁長官の基調講演を報じたものでした。
(講演内容は公開されていますhttps://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20170407/01.pdf
 
「実際、私が知っているある先生も、長年投資信託をやっていらっしゃるそうなんですが、現在マイナス~円(6ケタの数字)で、プラスになっているのをほとんど見たことがないそうです」
「へえ」
 
 ……以上の話の何がおかしいか。
 
 まず、投資信託の「資金流入額・流出額」というのは、ざっくり言うと、その投資信託が買われているかどうかの指標です。まあ会員数の増減みたいなもの。
 買った人が儲かったか損したかを表すものではない。
 もちろん成績が悪くなると売られる傾向はあるでしょうけど、それなら価格変動のグラフそのものを見せるべき。
 
 次に、「金融庁長官も言っている」ですが。
 長官が
「現在の金融機関は、顧客をだまくらかして手数料で儲けるようなアクティブ投信の販売に血道を上げていて、ちゃんと顧客が利益を得られる商品が少ない」
 的なことを言ったのは確か。
 
 でも、それを踏まえて、金融庁自身がまともな投資信託(主にインデックス投信)を厳選したのが、積み立てNISAやらiDeCoやらの対象銘柄なわけで。
 金融庁長官は投資信託やめろとか言いたかったわけでは全然ない。
 
「プロでも選ぶのは困難」っていうのは、
「株の売買のタイミングを選ぶのはプロでも難しい。だから成績のいいアクティブ投信は少ない」
 って話であって、投資信託を選ぶのが「プロでも難しい」という話ではない。
 
 だいたい、こっちが
iDeCoでインデックス投信積み立ててます」
 って言ってるのに、
「アクティブ投信は悪質なのが多い」
 という話を持ち出して
金融庁長官も投信は危険だと言ってます!」
 って言うのは明らかに誤解を招こうとしている。
 
 運用成績がマイナスの「ある先生」が誰で、何を買っていたのかはわからないけど、おそらく長官の言うような悪質なファンドにひっかかってしまったのではと思います。
 ……その先生が実在するとすればですけど。
 
 家に帰ってから調べたのですが、「たわらノーロード(8資産均等型)」は、資金流入額がマイナスになった月は運用開始以来一度もないし、もちろんアクティブ投信でもないし、そもそも運用開始が2017年11月…つまり金融庁長官の講演より後だから、「長年やっている」銘柄ではあり得ない。
(「たわら」の他のタイプだと、2015年12月から始まっていたり、流入額マイナスの月が2・3回あったりするけど、とにかく「長年」ってことはない)
 しかも、積み立てNISAの対象銘柄に……つまり金融庁が選んだ「割と安全な投資信託」に入っている。
 
 いや、私は買ってないし、他人におすすめもしないですけど。*1
 
 要するに、保険の人は、違う話を意図的にまぜこぜにして、聞く人に誤解を与えようとしているわけです。
「たわら」の人と金融庁の人は風評被害で訴えてもよい。
 
 ちなみに、それで先方が売ろうとしている商品は、ざっくり言うと、ドル建てで年3%の利息が付く貯金を積み立てることで個人年金の原資とし、そこに介護保険などの保障と、宿泊施設の割引きやら劇場の割引きやらのこまごました特典が付く、みたいな話。
(その代わり解約返戻金抑制型なので、60歳より前に取り崩そうとすると減額される)
 
 ……私が理解した範囲ではそんなに著しく悪いとは思えないですけど……。
 でも、客に誤解させるトークをする人だ、ということはもう十分わかっているので、この理解にも穴がありそうな気がする。
 
「貯金」って言ってたけど、今ググった感じだとアメリカ国債じゃないのかな。
 いくらアメリカでも預金に3%も金利はつかない気がする。
 
投資信託と違って、20%の源泉分離課税がかからないんです!」
 って言ってたけど、それは無税だって話ではなくて、所得税とか住民税とかは別にかかるのでは。
 
マイナンバーが必要ないので、国に把握されづらい!」
 ……それをメリットとして言ってしまうのは……どうなの……?
 今の政府は税金を浪費してるとは思うけど、それでも脱税する気はないですよ私。
 
 あと、これはセールスではなく商品への疑問なんですけど、外貨建てで積み立てるのに、ドル側が定額で、毎月の日本円での支払い額が為替相場によって変動するのって、明らかに不利なのでは……?
 逆の方が成績上がるはずだよね……?
 
 職業に貴賎なし、とはいうものの、私は過去に他の保険屋と英会話のNOVAで酷いセールスを受けて騙されたことがあって、セールスマンというものにはかなり職業的偏見があります。
 それが今回また強化されてしまった感じ。
(今の車を買った時の営業所の担当者はすごく親切だったので感謝しています。他の大きい営業所に異動してしまったけど)
 
 金融庁長官が言った、銀行とかが窓口で売ってる投資信託に悪質なものが多い、というのは、セールスマンの給料を払うためにコストがかさむから、というのも一因なわけで。
 顧客に払う分とは別に、営業販売のコストも捻出しなければいけないんだから、顧客の取り分はどうしてもそれだけ減ってしまう。
 そう考えると、セールスマンが売りに来る保険商品を買うのも同じだよなあ、と思います。
 
 ……しかし、実際に「ご説明」を受ける場では、以上つらつら書いたようなことは相手には一言も言わず、「ははあ」「なるほど」で通してるんですが。
 だって指摘しても、向こうのセールストーク向上に貢献するだけで私は何の得にもならないし……。
 
 しかし黙って聞いていてもお互い何の利益もないし部屋も寒いので、次回で「ご説明」を聞くのはやめようかなー、と思っています。
 何と言って断ったものか……。
 
 しかし、保険に入る気が全くない私がまんまと騙されて営業トーク聞かされてるんですから、「私は詐欺には騙されない」みたいな過信がいかに危険か、という話だなあ、とつくづく思います。
 

*1:断じて金融商品のおすすめはしませんからね?

それでも地球は動いているんですよ先生!

 「頭の固い小学校教師」の例として、
「『影が動くのはなぜですか』という理科の問題に、『地球が動くから』と書いたら不正解になった」
 という話が一時期巷間に流布したのは、ご存じの方も多いかも知れません。
 
 テストの解答を見てみましょう。

f:id:filinion:20191201192748j:plain:w500
日本標準・小学3年理科テスト
 
f:id:filinion:20191201193138j:plain
拡大図
 
 ご覧の通り、「地球が動くから」も正答、と明記されています。
 
 ……まあ……この話があんまり有名になったからわざわざ業者の方で付記したんじゃないかな、という気もしますけど。
 
 それはさておき、実際の授業で、この話がどんな感じかというと。
 
K村「さあみんな、遮光板の使い方はわかったかな?」*1
子どもたち「はーい!」
K村「……ところで、ちょっと鉄棒を見て?
 さっき、鉄棒の影に重なるように白線を引いたよね?
 今どうなってる?」
A児「あっ! 線がずれてる!」
B児「影が動いた!?」
C児「地球が動いたんだよ!」
K村「でも、影って、いつも太陽と反対側にあったよね?
 さっき、みんなが走ったり、くるくる回ったりしても、影の向きは全然変わらなかったよね?
 どうして影の向きが変わったんだろう?」
D児「太陽が動いたんじゃない?」
C児「地球が動いてるんですよ!」
K村「うん、よく知ってるね。
 ……さあみんな、遮光板でもう一度、よーく太陽を見てみようか。動いてるように見える?」
子どもたち「……わかんなーい」
C児「地球が動いてるんですよ!」
K村「うん、そうだな。えーと、みんな、太陽は空にあって目印がないから、動いてるかどうかよくわからないよね」
C児「地球が動いてるんですよ!」
K村「わかったわかった……。みんな、登り棒の根元に座ってみて。それで、太陽が半分だけ登り棒で隠れる場所から太陽を見てごらん」
f:id:filinion:20191201195341p:plain:w500
遮光板で見た太陽(画像は合成です)
K村「こうやって、登り棒を目印にしたら、太陽が動いて見えるかどうか、わかるんじゃないかな」
 
 太陽の視直径はおよそ0.5度で、24時間でほぼ360度移動するわけですから、この状態で2分くらい見ていると、登り棒で「日没」を観察することができます。
 
子どもたち「……あー! 太陽動いてる!」
C児「地球が動いてるんだよ!」
K村「太陽、どっちに動いて見える?」
子どもたち「右に動いてる!」
K村「方角で言うとどっち?」
E児「えーっと……西?」
K村「そうだなあ。太陽は東から西へと……」
C児「地球が動いてるんですよ先生! そんなことも知らないんですか!?」
K村「やかましいわー!
 地球が動いているくらいのことは先生だって当然知っています! 大人なんだから!
 けれども、太陽を観察していても、地球の動きそのものを体感することはできないだろ?
 だからさっきから『太陽が動いて見える』と言ってるんだろうが!
 いいから座って太陽を観察しろ!」
 
 ……まあ……そんな感じでした。
 
 なお、その後のテストで「地球が動くから」と書いてきた子は何人かいて、当然正解にしましたが、肝心のC児は「地球が太陽のまわりを回っているから」と書いたため、残念ながら不正解となりました。*2
 答案を返却する時、自転と公転の違いを説明する図を付記しておきました。
 
 まあ……その……「地球が動く」ということを言葉として知っていることと、それを理解していることは違うんだよな、と。
 
 解答としては「太陽が動くから」で充分なのですが、
「時間とともに太陽は動いていて、かげは太陽の反対がわにできるから、太陽が動くといっしょにかげも動く」
 等、こっちが恐縮するくらい丁寧な解答を書いてきた子もいて、そっちは花丸をつけました。……点数は変わらないけど。

*1:太陽を観察する時に使う道具。

*2:もちろん厳密には、見かけ上の太陽の動きは、地球の自転と公転双方の影響を受けるわけですが、公転の影響は非常に小さいし、そもそも自転と公転は回転方向が同じなので、日中は公転運動の影響は自転運動の影響に大部分相殺されているのではないか、と思います。  違っていたらご指摘ください。

"Madam, I'm Adam." "Eve."

 もうすぐ、就学時健康診断というものがあります。
 来年度入学する子が視力や聴力テスト、知能テストなどを受ける行事です。
 会場は各小学校なので、本校にも未就学児がやってくるわけです。
 
 その打ち合わせで、自分が担当するグループの子の名簿をもらって確認していたのですが。
 
 同じグループ担当の先生と。
「森川…苅梅? 何て読むんです?」
「『かりも』ちゃんだって」*1
「かりも。女の子なんですね」
「梅って『も』って読むの?」
「読まないと思いますね……。『母』がそう読めるから、ってことなんでしょうけど……」*2
 
 と、そこへ遅れてやって来た先輩(2児の母)が名簿を見るなり、
 
「もりかわかりも!? これ、逆から読んでも同じ名前になるようにしたんじゃない! そんな名前の付け方ってある!? それで名前が『かりも』って!」
「えっ」
「ああー……!」
 
 一見して読めない名前、というのは、小学校ではもはやスタンダードになった感すらありますが、回文になってるというのはさすがに初めて見ました。
 先輩はだいぶご立腹でしたが……苅梅さんの将来に幸あれ。

*1:プライバシー保護のため、記事の趣旨を変えない範囲で名前を変えています。

*2:今ではご存じの方が多いと思いますが、法令上、名前の発音を漢字の読みと一致させる義務はありません。「鹿」と書いて「うま」と読ませても合法。指鹿為馬。

生き写し。(死んでない)

 大きい学校に異動して半年ほど経ちました。
 
 子どもたちの名前もある程度覚えましたが、まだまだ全然。
 
 で、特に異動した当初に多かったのが、廊下ですれ違った子に「見覚えがある」という現象。
 
「あれっ!? あの子は前の前に勤めた学校にいた子では? こっちに転校してたのか!?」
 と一瞬思って、
「いやいや、あの子も今は高校生くらいになっているはず、他人の空似だ……」
 と思い直すという。
 
 ドラマとかでよくある現象ですけど、あれリアルでも起きるんだなあ、という。
 
 異動した当初に多かった、というのは、段々見慣れて、細かい違いが見えてきたからだと思うんですが、
「どう見ても以前知ってた子とそっくり」
 という子が1人いて、いまだに混乱します。
 
 ちなみに、
「他県に転校したはずの子とそっくりだと思ったら本人だった」
 という事案も一件。